オキサロールお勉強会

来月から門前病院さんでオキサロールが新規採用に。
現行ではボンアルファが採用にあって、オキサロールを追加採用したわけだけど、ボンアルファとオキサロール(とドボネックス)の違いが分からなかったので、新規採用にかこつけてお勉強会をやってもらった。
マルホさんらしく実務に使える内容てんこもりの有意義なお勉強会だった。
今更オキサロールとか少し思ってごめんなさい。
以下要点箇条書き。

  • ボンアルファだけが低濃度VD3製剤で、他は高濃度VD3。
  • オキサロールとドボネックス・ボンアルファハイでは適応病名が異なり、オキサロール以外は尋常性乾癬にしか適応がない。
  • また、ボンアルファハイだけが1×で、残りは2×。
  • 用法通り使うとオキサロール>ドボネックス>ボンアルファハイ>>ボンアルファの順の薬効となるが、1×同士で比較するとボンアルファハイが最強。
  • もちろん患者個人によってどの製剤が一番効くかは異なるので、一種類使って効果不十分の場合は別の薬に変えると奏効する場合がある。
  • この薬効の差はDBPとの結合力の差によるが、DBPに結合しにくいからといってVDRにも結合しにくいとはならないのがミソ。*1
  • 重篤な副作用である高Ca血症(→急性腎不全)発症のリスク因子は腎機能低下、吸収亢進状態の皮膚*2、併用薬*3、過量投与*4に特に注意
  • 正常皮膚に塗布するとかぶれやすいため、塗布した手は速やかによく洗う
  • 1×使用時は日中の紫外線を避ける*5ことと、皮膚の角化は夜間に進行するという2点の理由から、1×夕がオススメ
  • 尋常性乾癬患者は夜の痒みが強いため、ステロイド1×も1×夕がオススメ
  • ステロイド+VD3の重ね塗りは周囲の正常皮膚へのVD3塗布を最小にするため、ステロイド→VD3の順。
  • ステロイド+VD3のmixは基本的にn.p.だが、VD3軟膏の液滴分散が破壊されて吸収が上がりすぎて副作用を生じやすくなるという見解と、ステロイドとmixされるとIL系にも作用するようになり効果が改善するという見解があり、結論が出ていない
  • 白斑に適応外使用される場合は日焼け止めと併用するが、この場合はVD3→日焼け止めの順に塗ると紫外線によるVD3分解を減らせる

お弁当のマツタケも美味しかったです。

*1:DBP(=vitaminD Binding Protein)に結合しなかったものが核内に入ってVDR(=VitaminD Receptor)と結合して転写を受けて効果発現蛋白質となる

*2:治療初期やステロイド外用薬連用後は皮膚のバリア機能が低下しており、吸収亢進から高Ca血症を生じやすい

*3:他のVD3製剤やCa製剤に注意

*4:10g/dayの使用制限あり。適正使用量はFTU等は関係なく「患部のみにごく薄く塗布」

*5:VD3は紫外線により分解される