薬局5月号

薬関係22冊目。

薬局 2013年 05月号 [雑誌]

薬局 2013年 05月号 [雑誌]

特集「ステロイド外用薬」
アトピーに対するステロイド使用についてアレコレ。とっても興味深く読めました。

  • ステロイド外用薬のランク分類は血管収縮を指標とした抗炎症作用だけではなく、多くの臨床試験を突き合わせて専門医の意見を集積して作られている。日本とアメリカでも異なるし、日本の中でも年を追うごとに変遷しているのが面白い。軟膏かクリームかローションかで浸透率や効果が変わってくるのはもちろんで、日本のランク分類表は主に軟膏製剤による。
  • ステロイドに外用薬にはタキフィラキシーが起こるため、そうした作用の発現防止のためにも寛解導入後のproactive療法や、タクロリムス軟膏との併用には意義がある。
  • 皮膚の状態により皮膚透過性が異なるのはもちろんだが、正常皮膚ではクリームが軟膏やローションに比べて優れているのに対し、角層を除去した皮膚ではローションが最も皮膚透過性が亢進している。
  • 実際に皮膚を柔らかくするのは角層の表面が適度に潤っているかどうかであり、バリア機能は関係しない。保湿外用剤や基礎化粧品も皮膚表面を柔らかくすることはできるがバリア機能には直接影響しない。皮膚炎の治療によって炎症性変化が治まり、表皮増殖と分化が修復されると、保湿性とともにバリア機能も戻ってくる。
  • 免疫再構築というと、本来の正常機能を持つ免疫反応の回復のみを考えがちだが、炎症性疾患においては様々な臓器に対する異常な免疫応答の回復も含んでいると考えるべきである。従来ステロイド薬の中止によるリバウンドや合併する感染症とみなされてきた病態は、免疫再構築に伴う感染症様症状と解釈した方が治療を考える上で有用である。
  • ステロイド軟膏による副腎皮質抑制が起こる可能性のある1日量は小児ではstrongestで5g、very strongで10g、strongで15g程度、成人ではその倍程度。密封療法では1/3量程度。
  • strongクラス以上のステロイド外用剤では3週間以降の治療効果は1×と2×で有意差がないため、軽快後は1×塗布が推奨。ただしマイルドクラスの場合には1×よりも2×の方が有効。
  • 一般に1FTU=0.5g=掌2枚分の面積に塗布、が成り立つのはチューブ径5mmの場合。*1

*1:「これはヒルドイドソフト25gチューブに相当して、多くのステロイドの5gチューブでは1FTU=0.25g=掌1枚分の面積にしかならないよ。」と、以前金山のホテルで講演してくれた皮膚科の先生が教えてくれたよ。