イーケプラ勉強会

てんかん…脳神経の過剰な興奮による意識障害、傾眠、痙攣などが現れる疾患。主に3歳以下で発症し、80%が18歳までに発症する。それ以降では交通事故や脳血管性疾患に続発する場合がほとんど。有病率≦1%で、統合失調症と同等。
薬物治療が進展して通常の人と変わりない生活を送ることができるようになった。意識障害を起こすため、運転免許を持った患者に対しては慎重な治療となる。


イーケプラ(一般名:レベチラセタム)
効果のEfficiency、てんかんのEpilepsyをあらわす「イー」+海外での商品名「ケプラ」(エジプトの太陽神Khepra)→イーケプラ
当初は認知症での適応を目指して開発されていたが、てんかんに効果があることが分かり、方針変更して抗てんかん薬として開発された。
効能効果=既存抗てんかん薬で効果不十分な成人部分発作の併用療法
ガバペン、トピナ、ラミクタールと同じ新規抗てんかん薬に分類される。
これらは全て既存の抗てんかん薬の効果不十分な部分発作に併用療法で用いられ、単剤療法は保険上認められていない。小児てんかん、全般発作に適応を持つのはラミクタールのみ。ただしラミクタールにはやや薬疹が多い。(海外ではケプラにも全般発作の適応あり)
欧米のエキスパートオピニオンにおいて、多くの既存抗てんかん薬に対する追加薬剤として第一選択に挙げられている。アメリカでの抗てんかん薬市場の23.1%(2008年〜2010年)を占め、最も多く処方された抗てんかん薬となっている。
CYPでの代謝は受けないため相互作用が少なく、他の抗てんかん薬やWF、ジゴキシン血漿中濃度に影響しない。
有効用量である1000mg/dayから開始でき、漸減・漸増が必要ない。投与開始初日から効果が表れる。
シナプス小胞蛋白SV2Aに結合することで抗てんかん作用を発揮する新規作用機序*1を有するため、他剤と組み合わせることで合理的な併用療法となる。
線形の薬物動態を示し、食事の影響も受けず、血漿蛋白との結合率が低いため、投与量から血中濃度が予測しやすい。TDMも不要。発作の頻度や副作用に応じて増減する。
症状安定後の減量は第一選択薬を残すのが原則ではあるが、症状の安定を見ながら主治医のさじ加減次第であり、イーケプラと第一選択薬のどちらを先に減量するべきであるというコンセンサスはない。ただしイーケプラの単独投与には保険適応がないことに留意。
服薬中のみならず投与中止後も強直性痙攣の頻度と持続時間が長期間抑制される。
5%以上で発現した主な副作用として傾眠、無力症、浮動性めまい、頭痛など。無力症やめまいは傾眠や倦怠感からくるものであろうとされている。トピナと比べて副作用発現率が低く、高い服薬継続率と高い効果を両立しているのがイーケプラの特徴。
レベチラセタムは睡眠を短くする傾向があり、睡眠不足から不安や易刺激性、時に攻撃的行動と結びつきやすくなる可能性があるため、投与開始時に抗不安薬を中止することは注意が必要。就寝直前ではなく、就寝の2〜3時間前に服用した方がよい。


粉砕、簡易懸濁OK。8Frのチューブを通過する。

*1:従来の抗てんかん薬ではニューロンの過剰興奮を抑制するものの、過剰同期に対する抑制作用は認められない。レベチラセタムでは過剰興奮のみならず、過剰同期の抑制も認められる。