ベプリコール錠添付文書改訂*7

持続性心房細動の適応を追加。

警告
持続性心房細動患者を対象とした国内臨床試験において、心室頻拍から死亡に至った症例がみられ、心房細動および心房粗動の患者を対象とした臨床研究において、Torsades de pointesを0.9%(4/459例)に発現したとの報告があるので、過度のQT延長、Torsades de pointesの発現に十分注意すること。

効能又は効果に関連する使用上の注意

  1. 持続性心房細動への適用は、基本的に心房細動の持続時間が心電図検査又は自覚症状から7日以上持続していると判断された場合とすること。
  2. 持続性心房細動に適用する場合には、心房細動の停止、及びその後の洞調律の維持を目的として投与すること。


用法・用量
通常、成人にはベプリジル塩酸塩水和物として、1日100mgから投与を開始し、効果が不十分な場合は200mgまで増量し、1日2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜減量する。


用法・用量に関連する使用上の注意

  1. 虚血性心疾患や心筋症などの器質的心疾患を有する持続性心房細動患者に投与する場合は、著明な心電図QT延長に引き続く催不整脈作用があらわれる可能性があるので、少量から開始し治療上必要な最小限にとどめるなど、投与量に十分注意するとともに頻回に心電図検査を実施すること。
  2. 本剤は、血中濃度が定常状態に達するまで通常3週間を要する。このためこの間は十分な効果が発現しないことがあるので、増量が必要な場合にはこの期間を過ぎてから行うこと。本剤による催不整脈作用は投与初期ばかりでなく増量時にも起こるおそれがあるので、用量の調整は慎重に行うこと。投与開始後又は増量後、少なくとも3週間は1週間毎に診察、心電図検査を行い、心電図QT間隔の過度の延長あるいは高度の徐脈、血圧低下、心拡大等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。
  3. 重篤な臨床症状のため、持続性心房細動患者に1日200mgから投与を開始する場合は、原則として患者を入院させて医師の厳重な管理下に置き、患者の安全性を十分に確保すること。
  4. 本剤は心房細動患者の細動停止後も、洞調律維持を目的として投与されるが、安全使用の観点から漫然と投与することを避けるため、本剤の投与開始時又は増量時から定期的に、患者の心電図や臨床症状等を十分に観察し、必要に応じて減量又は休薬についても考慮すること。
  5. 本剤の投与開始後、一定期間経過後も、持続性心房細動が持続し、除細動効果が得られる可能性が低いと判断された場合には、投与を中止すること。(国内臨床試験では、本剤投与後に除細動された症例では、その殆どが投与開始後6週間以内に洞調律化を認めた。)


QT延長が現れやすいため、低Mg血症、クモ膜下出血や頭蓋内出血の患者を慎重投与に。


重要な基本的注意として以下を追記。
1.診察時には原則として心電図を測定し、電解質等の血液検査を実施すること。
6.心房細動に投与する場合には、発作停止時に洞停止、洞不全症候群の誘発の危険性が高くなるので、十分注意すること。


房室伝導抑制作用の重複により除脈が現れることがあるためβ遮断薬及びCa拮抗薬を併用注意に。


薬効・薬理
(1)実験的頻脈性不整脈に対する作用
2)心房細動モデル
右心房高頻度刺激誘発(覚醒イヌ)心房細動モデルにおいて、有効不応期の短縮に対する軽減・回復作用が観察されるとともに、L型Ca2+チャネルのmRNAレベルの低下が抑制される心房細動誘発電気的リモデリングに対する改善作用が認められている。
(2)電気生理学的作用
1) 各種K+チャネル抑制作用に対する作用
モルモット単離心筋細胞における遅延整流K+電流の速い成分(IKr)及び遅延整流K+電流の遅い成分(IKs)、ヒト胎児腎細胞株HEK293細胞に発現させたヒトKv1.5チャネルの非常に速い活性化過程を示す遅延整流K+電流(IKur)をいずれも濃度依存的に抑制する。また、アセチルコリン感受性K+電流(IK,Ach)、ATP感受性K+電流(IK,ATP)並びに細胞内Na+誘発K+電流(IK,Na)も濃度依存的に抑制する。この他にも、プルキンエ線維(ヒツジ)において、内向き整流性電流(IK1)、遅延整流性外向き電流(IK)及び一過性外向き電流(Ito)を濃度依存的に抑制する。