リレンザ添付文書改訂*1

インフルエンザの予防への適応を追加。
ただし、

インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチン療法であり、本剤の予防使用はワクチン療法に置き換わるものではない。

との警告及び

本剤を予防に用いる場合には、原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象とする。

  1. 高齢者(65歳以上)
  2. 慢性心疾患患者
  3. 代謝性疾患患者(糖尿病等)
  4. 腎機能障害患者

との制限もあり、予防に用いる場合は通常、成人及び小児には、ザナミビルとして1回10mg(5mgブリスターを2ブリスター)を、1日1回、10日間、専用の吸入器を用いて吸入する。
とのことで、基本的にタミフルを予防に用いる場合と同様に対処する。
また、この場合の使用上の注意としては以下の通り。

インフルエンザウイルス感染症患者に接触後1.5日以内に投与を開始すること。*1
インフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は、本剤を連続して服用している期間のみ持続する。

保険給付上の注意としては、予防投与は自費ですよってこと。


国内予防臨床成績

18歳以上の医療機関の従事者を対象とし、ザナミビル吸入(10mg/日)28日間投与による予防試験(プラセボを対照とした二重盲検群間比較試験)を実施した。その結果、インフルエンザ様症状の発現(発熱(37.5℃以上)、発熱感、咳、頭痛、咽頭痛、筋肉・関節痛のうち2つ以上の症状の発現)及びインフルエンザウイルス感染が確認された患者の割合は、ザナミビル群1.9%(3/160)、プラセボ群 3.8%(6/156)であった(p=0.331)。

海外予防臨床成績

1) 家族内における感染予防(海外)
家族内においてインフルエンザ感染症患者が確認されてから、家族全員(5歳以上)をザナミビル10mg1日1回又はプラセボ1日1回、10日間吸入のいずれかに割り付け、予防効果を比較した。その結果、インフルエンザ様症状の発現(口腔体温37.8℃以上又は発熱感、咳、頭痛、咽頭痛、筋肉痛のうち2つ以上の症状の発現)及びインフルエンザウイルス感染が確認された患者が1例以上認められた家族の割合は、ザナミビル群4%(17/414)、プラセボ群19%(78/410)であった。(p<0.001)


2) 同一地域に居住している被験者における感染予防(海外)
インフルエンザ感染症の発生が認められている地域を対象に、ザナミビル10mg1日1回又はプラセボ1日1回、28日間吸入のいずれかに割り付け、予防効果を比較した。その結果、インフルエンザ様症状の発現及びインフルエンザ感染が確認された患者の割合は、以下のとおりであった。
共通の大学に属する18歳以上の者を対象とした試験→ザナミビル群2.0%(11/553)、プラセボ群6.1%(34/554) p<0.001
共通のコミュニティーに属する高齢者(65歳以上)、糖尿病を有する患者、慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者等のハイリスク患者を対象とした試験→ザナミビル群0.2%(4/1678)、プラセボ群1.4%(23/1685) p<0.001


3) 介護施設内における感染予防(海外)
インフルエンザ感染症の発生が認められている介護施設の入所者を対象に、ザナミビル10mg1日1回又は対照群1日1回、14日間投与のいずれかに割り付け、予防効果を比較した。その結果、新たな症状又は症候を発現し、インフルエンザ感染が確認された患者の割合は、以下のとおりであった。
対照群としてA型インフルエンザに対してリマンタジン、B型インフルエンザに対してプラセボを投与した試験→ザナミビル群4%(7/184)、対照群8%(16/191) p=0.085
対照群としてA型インフルエンザ及びB型インフルエンザのいずれに対してもプラセボを投与した試験→ザナミビル群6%(15/240)、プラセボ群9%(23/249) p=0.355


その他の副作用として頭痛、嗄声を追記(0.1%未満)

*1:接触後 36時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない