トラクリア錠62.5mg添付文書改訂

全身性強皮症における手指潰瘍の発症抑制(ただし手指潰瘍を現在有している、または手指潰瘍の既往歴のある場合に限る)の適応追加
既存の手指潰瘍に対する有効性は認められていない。
全身性強皮症における手指潰瘍の患者に投与する場合は、定期的に本剤の治療効果や継続治療の必要性を考慮すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。


センタンはヒト伏在静脈の組織培養系において、血管内膜過形成を抑制した。また、ボセンタンはヒト血管において、アセチルコリンによる血管拡張作用を増強した。
センタンは全身性強皮症患者の線維芽細胞からのコラーゲン産生を抑制した。
センタンは皮膚の線維化を抑制した。
(1) 外国における臨床成績
全身性強皮症に伴う手指潰瘍を有する患者もしくは手指潰瘍の既往歴がある患者を対象に手指潰瘍に対する本剤の有効性及び安全性を検討する無作為二重盲検プラセボ対照比較試験を実施した(n=122)。本剤62.5〜125mg又はプラセボを1日2回投与したとき、投与後16週までに発現した新規手指潰瘍数はボセンタン群で1.6±2.3(平均値±標準偏差、以下同様)(中央値:1.0)個、プラセボ群で3.0±3.8(中央値:1.0)個であり、ボセンタン群とプラセボ群の間に有意差は認められなかった(Mann-Whitney U検定)が、過分散を調節した副次的な解析であるPoisson回帰では有意であった(p=0.0111、poisson回帰)。また、一方でデータの基礎分布に左右されない並べ替え検定が最適な解析方法であると判断し、事後解析を行った結果、新規手指潰瘍の発現を有意に抑制した(p=0.0112、無作為化のブロックで層別化した並べ替え検定)。
全身性強皮症における手指潰瘍を有する患者を対象に手指潰瘍に対する本剤の有効性及び安全性を検証する無作為二重盲検プラセボ対照比較試験を実施した(n=190)。本剤62.5〜125mg又はプラセボを1日2回投与したとき、投与後24週までに発現した新規手指潰瘍数はボセンタン群で平均1.9±2.2(中央値:1.0)個、プラセボ群で2.7±3.3(中央値:1.4)個であり、群間で有意差が認められた(p=0.0351、Pitmanの並べ替え検定)。なお、指標潰瘍が完全治癒するのに要した時間について、ボセンタン群のプラセボ群に対するハザード比は、0.909(95%信頼区間:[0.613、1.348]、log-rank p=0.6327)であり、ボセンタン群とプラセボ群との間に有意差は認められなかった。
(2) 国内における臨床成績
全身性強皮症における手指潰瘍を有する患者もしくは手指潰瘍の既往歴がある患者28例を対象に本剤62.5〜125mg 1日2回を投与したとき、投与後16週までに発現した新規手指潰瘍は0.39±0.79(中央値:0.00)個であった。