ジェノサイド ★★★★☆

今年56・60冊目。

有機合成系の薬学生が主人公(の一人)!なのに戦場描写あり、種としての人類に関する描写ありの異色の一冊。
そういう作品だとこれまでは大体「薬学生」というのは設定だけで終わっていたんだけど、この作品は違う!
有機合成シーンがきちんと描かれてるよ。目的の化合物からの逆合成、クロマトでの精製分離、MSやNMRでの構造決定。みんな描かれてる。
しかもそれが物語の主軸として、しかも研究期限に向けてのハラハラ感ありで描かれてる。

「あれ、文系の子だろ?付き合ってんのか?」
そうだ、と見栄を張りたいところだったが、研人は正直に答えた。「つかず離れずの、ファンデルワールス相互作用だ」
「ああ」と、土井は呻いた。「かわいそうに」
「土井はどうなんだよ」
「同じ部屋にいい子がいるんだが、金属結合だ。お互い、集団の中の一原子で身動きが取れん」
「なんとか共有結合したいなあ」
「そうだなあ」
二人はしばらく無言になって、メンチカツ定食を食べ続けた。
(上巻 p.111)

非モテ系理系ジョークもありますよ(´・ω・`)