終末のフール

今年64冊目。

終末のフール (集英社文庫)

終末のフール (集英社文庫)

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。

世界の余命がわずかとなった世界での日常。
色んな人たちが出てくるのだけど、終末の世界になってもやっぱり人と人はつながってる。
「オーデュポンの祈り」の群像劇を思わせる連作短編8本。
ちょっとしたセリフの中にその人その人の個性が出てきて面白い。


スペシャルな馬鹿だ」
「民衆は今日も買い物に来るぞ」
「楽勝だぜ」
「分からない問題は、飛ばせ」
「おい俺、俺は、こんな俺を許すのか?」
「何かに夢中になる人をオタクって言うなら、それは敬称だ」
「ダウト」
「死んでも死なない、死んでも死なない」