エビリファイ添付文書改訂

うつ病うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)の適応追加。*1
通常、成人にはアリピプラゾールとして3mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤又はセロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害剤等による適切な治療を行っても、十分な効果が認められない場合に限り、本剤を併用して投与すること。*2
抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤を投与する場合には、リスクとベネフィットを考慮すること。
うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
海外で実施された大うつ病性障害等の精神疾患を有する患者を対象とした、複数の抗うつ剤の短期プラセボ対照臨床試験の検討結果において、24歳以下の患者では、自殺念慮や自殺企図の発現のリスクが抗うつ剤投与群でプラセボ群と比較して高かった。なお、25歳以上の患者における自殺念慮や自殺企図の発現のリスクの上昇は認められず、65歳以上においてはそのリスクが減少した。


精神症状を増悪させることがあるため、慎重投与患者に脳の器質的障害のある患者、衝動性が高い併存障害を有する患者を追記。
CYP2D6阻害による本剤の作用増強の恐れがあるため、併用注意にパロキセチンを追記。*3


その他の副作用として下記追記。
体重増加(5%以上)、筋強剛、流涎、高血圧、食欲不振、食欲亢進、プロラクチン低下、月経異常(以上、1〜5%未満)、リビドー減退、注意力障害、妄想、認知症、健忘、睡眠障害、パニック反応、偏頭痛、顔面痙攣、筋緊張、低血圧、びらん性胃炎、腸炎、十二指腸炎、口唇炎、口唇腫脹、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、歯周病、口の錯感覚、好酸球増多、単球減少、脂肪肝、尿比重上昇、血中尿素減少、血中尿酸減少、尿量減少、酒さ、乾皮症、色素沈着障害、脂質代謝障害、コレステロール上昇、鼻乾燥、調節障害、羞明、眼の異常感、眼痛、疲労、頚部痛、筋痙縮、末梢冷感、流産、味覚異常、耳鳴、寝汗、四肢不快感、薬剤離脱症候群、顔面浮腫、握力低下、転倒(以上、1%未満)、記憶障害、びくびく感、無オルガズム症(以上、頻度不明)


薬効薬理として、in vitro 試験においてドパミンD3受容体に対して部分アゴニストとして作用した旨追記。

*1:国内で実施された二重盲検試験を含む臨床試験における主な成績は次のとおりである。
抗うつ剤治療で十分な効果が認められない大うつ病性障害患者を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)又はセロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)(パロキセチンフルボキサミンセルトラリンミルナシプラン及びデュロキセチン)を承認用法・用量で8週間投与し、十分な効果が認められないことを前方視的に確認した後、SSRI又はSNRIの併用下で、アリピプラゾール3〜15mg又は3mgを1日1回6週間投与した。最終評価時におけるMontgomery-Åsberg Depression Rating Scal(e MADRS)合計点のベースラインからの変化量は下表に示すとおりであり、アリピプラゾール3〜15mg群及び3mg群の両群で、プラセボ群に対し統計学的な有意差が認められた(3〜15mg群p=0.006、3mg群p<0.001、ベースライン値で調整した共分散分析(3〜15mg群、3mg群の順による閉検定手順))

*2:うつ病うつ状態に対して本剤単独投与での有効性は確認されていない。

*3:健康成人(外国人)において、CYP2D6の阻害作用を有するパロキセチン20mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ39%及び140%増加した。