銀行総務特命

今年41冊目。

銀行総務特命 (講談社文庫)

銀行総務特命 (講談社文庫)

帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された指宿修平。顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり…スキャンダルに事欠かない伏魔殿を指宿は奔走する。腐敗した組織が、ある罠を用意しているとも知らずに―「総務特命担当者」の運命はいかに!?意外な仕掛けに唸らされる傑作ミステリー。

不祥事ばっかり起こりすぎだよ帝都銀行Σ(゚□゚;)!!
というくらいバラエティに富んだ不祥事を担当させられる指宿さん。
上役ににらまれたり他部署に妬まれたりしながらも淡々と業務をこなし、物事のささいなほころびを見つけ出し、真実を暴いていく。
やはりトラブル対応には冷静さと誠実さが大切なようです。
題材が題材なだけに「下町ロケット」のスカッとするような展開にはならず、解説の高任さんに言わせれば「やるせない」本。
各話の結末も、真実が明らかになったところでスパッと〆られており、余計なエピローグは一切ない。
その終わり方がリアリティを増大させるし、またそれが何より「やるせなさ」を増している気がする。
組織の中では仕事に区切りがついたら自分が関与できるのはそこまでで、後日それがどうなったかというのは分からなかったりするものですから。