リーマス錠添付文書改訂

用法及び用量に関連する使用上の注意として以下追記。

過量投与による中毒を起こすことがあるので、投与初期又は用量を増量したときには維持量が決まるまでは1週間に1回をめどに、維持量の投与中には2〜3ヵ月に1回をめどに、血清リチウム濃度の測定結果に基づきトラフ値*1を評価しながら使用すること。なお、血清リチウム濃度を上昇させる要因(食事及び水分摂取量不足、脱水を起こしやすい状態、非ステロイド性消炎鎮痛剤等の血中濃度上昇を起こす可能性がある薬剤の併用等)や中毒の初期症状が認められる場合には、血清リチウム濃度を測定すること。

重要な基本的注意として以下追記。

本剤でBrugada症候群に特徴的な心電図変化(右側胸部誘導(V1〜V3)のcoved型ST上昇)が顕在化したとの報告がある。なお、それに伴う心室細動心室頻拍、心室性期外収縮等が発現することがあるので、Brugada型心電図が疑われた患者に投与する際は、循環器を専門とする医師に相談するなど、慎重に投与の可否を検討すること。
患者及びその家族に、本剤投与中に食事及び水分摂取量不足、脱水を起こしやすい状態、非ステロイド性消炎鎮痛剤等を併用する場合等ではリチウム中毒が発現する可能性があることを十分に説明し、中毒の初期症状があらわれた場合には医師の診察を受けるよう、指導すること。

併用注意としてARBを追記。アンジオテンシンII受容体拮抗剤(ロサルタンカリウム等)がアルドステロン分泌を抑制し、ナトリウム排泄を促進することにより、腎におけるリチウムの再吸収が代償的に促進される可能性があるため、血清リチウム濃度が上昇すると考えられる。
併用注意としてSSRI/SNRIを追記。セロトニン症候群(錯乱、軽躁病、激越、反射亢進、ミオクローヌス、協調異常、振戦、下痢、発汗、悪寒、発熱)を起こすとの報告がある。
併用注意としてメトロニダゾールを追記。リチウム中毒を起こすとの報告がある。機序不明。


重大な副作用として洞不全症候群、高度徐脈、急性腎不全、間質性腎炎、ネフローゼ症候群甲状腺機能低下症、甲状腺炎、副甲状腺機能亢進症認知症様症状を追記。
その他の副作用としてせん妄、血中TSH、血中遊離T3、血中遊離T4の上昇、脱毛、味覚異常(苦味等)を追記。

*1:薬物を反復投与したときの定常状態における最低血中薬物濃度のこと。血中濃度の経時的推移の中で、変動の小さい時点であり、血中濃度のモニタリングに適している。一般的に反復投与時の次回投与直前値となる。