ラジレスお弁当会

100年以上前にレニンの存在が発見されてからずっと研究されてきたのに、薬理作用が持続しない*1ために使い物にならず、ずっと製品化されなかった新規作用機序降圧剤、DRIのラジレスが新発売。
アリスキレンがレニンのサブポケットにはまり込んでアンジオテンシノーゲンからAng1が遊離するのを阻害することで降圧作用を発揮する。
アリスキレン75mgVS150mg、300mgVS600mgでは効果に有意差がつかなかったが、150mgVS300mgでは有意差がついたため、基本用量を150mg、最大で300mgまで増量可として適応申請した。
300mg/日に増量した場合は1×でも2×でも効果に差はないと思われる。*2
血中濃度が食事の影響を受け、空腹時投与ではAUCが約2倍になるため原則食後投与。
ただ、食前食後で臨床効果に差が出なかったため、食前なら食前で固定すればどちらで服用してもよい。
効果の強さはアリスキレン150mg≒イルベサルタン150mg。
薬物動態としてCYPの影響はほとんど受けないが、ネオーラルと併用することでP糖蛋白阻害の影響を受け、AUCが5倍に増大する。
このためネオーラルは併用禁忌。
同様の理由でリピトールと併用するとAUCが1.5倍となるが、こちらは併用注意。
ACEには作用しないのでブラジキニンを介したACEiのような空咳の副作用はないが、RAA系を阻害するためARBやACEiと同様に高K血症を起こす可能性がある。
大体ARBと同様のSE発現率と考えてよいとのこと。
AVOID試験においてニューロタンに上乗せして血圧非依存的尿蛋白減少作用を表すことが証明されている。
他にも腎保護・心保護作用を証明しようと日本人を含む大規模臨床試験が進行中。
ARBと同様に脳保護作用も期待されているが、こちらは臨床試験は特に実施されていない。
アリスキレンの作用持続時間を延ばすためにあれやこれや修飾したみたいだけど、アミノ基やら水酸基やらついてて、見た目通り水溶性。
水溶性で分子量1200ってことはBBBは通過しないわけで、脳保護作用は…???
裸錠で2〜3日置いただけでフィルムコートにヒビが入るとのこと。
薬理作用が低下するわけではないとのことですが、ODPも半錠分割も粉砕も不可。
ただ、水溶性ながら乳汁移行はあるようで、授乳婦は服用中止。
催奇形性もあるようで、妊婦も禁忌。
この辺はARBと同様ですな。

*1:半減期30分とか色々あったらしいですよ…

*2:半減期が約37時間と長いため、連続投与で定常状態に達しているため。