不屈の棋士

今年40冊目。

不屈の棋士 (講談社現代新書)

不屈の棋士 (講談社現代新書)

羽生善治は将棋ソフトより強いのか。

渡辺明はなぜ叡王戦に出ないのか。

最強集団・将棋連盟を揺るがせた「衝撃」の出来事、
電王戦でポナンザに屈した棋士の「告白」とは。

気鋭の観戦記者が、
「将棋指し」11人にロングインタビューを敢行。

ここまで棋士たちが本音を明かしたことはなかった!

由緒ある誇り高き天才集団は、はたしてこのまま、
将棋ソフトという新参者に屈してしまうのか。

劣勢に立たされ、窮地に追い込まれた彼らはいま、
何を考え、どう対処し、どんな未来を描いているのか。

プロとしての覚悟と意地、将来の不安と葛藤……。

現状に強い危機感を抱き、未来を真剣に模索する
棋士たちの「実像」に迫った、渾身の証言集。

著者の大川さんが本書に登場している棋士全員に聞いている質問に2015年10月に情報処理学会が出した「トップ棋士との対戦は実現していないが、事実上ソフトは棋士に追い付いた」という宣言にどう思ったか、というものがある。
これに対しては棋士の存在価値とは?とかに絡めて皆さんそれぞれのお答えをされているのだけど、佐藤康光九段の回答が一番好きだな。

勝負というのは常に押し引きがあって、優勢だから100%勝てるわけではない
将棋は平均で110手あるので、少なくとも110の思考とドラマがある
いい手もあれば悪い手もあるのが将棋
将棋には、形勢が悪くても逆転するという魅力がある
差し手というのは棋士人間性が投影されるものでしょう。だから将棋の持つ多様性を意識しながら、同時に自分の個性を強く出す。そのうえで見ている人が共感できるような将棋を目指せばいい。
将棋はそれほど簡単なものではない!

ちなみにオイラ自身はソフトが棋士より強くてもプロ棋士の存在価値は変わらないと思っている。
新幹線がマラソン選手よりも陸上短距離選手より早くても世界陸上は開催されるのと同じ。


オイラは将棋のルールは知っているけれども、はっきり言ってほとんど指せない。
でもなんやかんやで将棋のニュースとかには興味がある。
将棋って色んな切り口で報道されてるんだよね。
最近話題の藤井聡太さんの最年少七段昇段みたいな記録の話がある。
そんな最年少記録を更新し続ける藤井さんがデビュー戦で戦った加藤一二三九段が当時最年長棋士で、その勝負の結果引退することになったんだけれども、実はその藤井さんの前に最年少プロ記録を持っていたのは当の加藤さんだったなんていう巡り合わせの話もある。
今回読んだ本の主題でもある将棋ソフトの使用を巡っては一昨年に将棋ソフト不正使用疑惑*1なんてこともあった。
プロ棋士が対局中に食べる将棋メシの話題もある。
どの業界でもトップの人たちはそうなのかもしれないけれども、妙に個性的なキャラが多く見える棋士たちの逸話も面白いものが多い。
ぶっちゃけ将棋のルールを全く知らなくてもそうしたお話を追っかけて行くだけでもかなり面白い。
ノンフィクションも小説も、漫画もアニメも映画もたくさんあるからみんな色々見ればいいよ。
[rakuten:rakutenkobo-ebooks:11686581:detail]