SGLT2勉強会

地区薬の研修。箇条書き。

  • カナグルについて(メーカー講演)

100mg/1×で約100g/日の糖が排泄される
カナグルはSGLT2選択性が低く、小腸でのSGLT1も阻害→グルコース吸収遅延→GLP-1分泌促進→食後過血糖抑制→食直前服用がより有用である可能性あり
SGLT1を心臓で阻害すると心機能↓のSEが起こり得るが、カナグルは蛋白結合率が98.3%あるため小腸で吸収された後血中に入るとほとんどが蛋白結合し、心臓に悪影響を及ぼすほど非結合型の濃度は高くならないと考える

  • 臨床でのSGLT2阻害薬使用について

DMはインスリン抵抗性↑、インスリン分泌能↓が病態の本体であり、糖吸収抑制・排泄調節系(=α-GI、SGLT阻害)は病気を治すことはしない、あくまで対処療法である。頭痛薬の血糖版みたいなもの
SGLT2阻害薬を飲むとFBS=80でも尿糖が4+になる
非肥満の人はそれほど体重は減らない
心血管系ハイリスク患者の総死亡減少NNTはシンバスタチン(5.4年)で30、ラミプリル(5年)で56、エンパグリフロジン(3年)では39と短期間での改善効果が得られている
ただし心疾患は大きく減少するものの、脳梗塞は増大傾向であり注意が必要
SGLT2阻害薬を服用しているとBS≒200〜300でもケトアシドーシスを起こすことがあり、全身倦怠、悪心嘔吐、体重減少を伴う場合は注意が必要
SGLT2阻害薬は糖を捨ててしまうため肝での糖新生が亢進する結果、グルカゴンの分泌を増やしてしまう→GLP-1作動薬を併用するとグルカゴン分泌抑制がかかるので相乗効果が得られる
性器感染による陰部の痒みはそのまま服用を継続する限り続く
SGLT2阻害薬を開始すると初めの6ヶ月はほとんどの人が何もしなくても血糖が下がっていく。6ヶ月以降は食事療法に応じて上下するようになるため、下がっている間にしっかり動機づけして生活改善を行うことが大切
食生活の問題で土日に太る人に対して土日だけ服用させるケースがある
脱水対策として「尿に糖を溶かして捨てる薬なんだから、どんどん水分をとってどんどん尿を出す方が血糖も下がるよ!」と話すことがある。嘘も方便。