十二国記 東の海神 西の滄海  ★★★☆☆

今年72冊目。

卿伯は理を説き、道を説かれる。聖人君子の顔をして。けれど本当に卿伯が無私の人物なら、なぜ候の状態を国府に奏上して元州を国府に返さないのだ、って。元州は候に与えられたもの。候を定める権限はただ王にだけある。たとえ王が玉座におられなくても、六官にこれを奏上し、指示を仰ぐのが公道というものではないの?卿伯はそれをしなかった。自分の手の中に権を握りこんで、王が登極なさっても、これを返そうとしない(p.256)

これだ。
現状に不満があり、たとえそれを改善できるだけの実力が自らにあったとしても、その実行には理に定められた手順を踏む必要がある。
それをしない場合には必ずどこかに混乱や歪みが発生する。
それが組織というもの。
この巻(引用部分だけでなく、他にもシステムとしての王と麒麟の位置杖付けなども記述されていた)を読むことでようやく十二国記における王と麒麟を含むシステムに納得がいったというか、ストンと理解ができたというか、そんな感じがした。