十二国記  風の海 迷宮の岸

今年43・44冊目

麒麟によって蓬莱から連れてこられた女子高生が王として即位するまでを描いた前作とは真逆で、蓬莱から連れてこられた男の子が麒麟として目覚めるまでを描いた第2作。
信じて裏切られ、信じては裏切られ、どんどんどん底に落ちていく前作に対して今作は、登場人物みんなが主人公を信じ、愛してくれる中で主人公自身だけが主人公のことを信じられないという葛藤の中で進んでいく。
あの人を守りたい、例え天に背いてでもあの人の側にいたいという想いが麒麟としての力の覚醒を導くが、それは新たな葛藤の始まりだったという終盤の流れは、順当に進んできた物語にもうひと山の緊迫感をもたらしてくれてよかった。
前作よりも明るい気持ちで、微笑ましく主人公を見守るように読めた。