ターン

今年84冊目。

ターン (新潮文庫)

ターン (新潮文庫)

わたしは、泉さんと話すのが楽しい。こんな人は、今まで、わたしの前に現れたことがない。それだけに思う。……この人との間で、話すことがなくなったら。
「確かに、人の心なんて当てにならない。君と、毎日話していたら、時には面倒になるかも知れない」
「おいしいと思ったものでも、三度三度食べ続けたら、あきます」
「でもさ、ご飯てあきないね。ピザ食べても、そば食べても、結局、そこに戻ってくる。そういうものもあるよ」
(p.306)

うわぁ、ベタ甘だー!有川浩ばりのベタ甘パートがあるとは思わなかった!
…なんてことを思ったんだけど、2/27の日記*1でも似たような感想を書いてたよ。
165ページまでは我慢の読書、二人が絡み始める166ページ以降は面白かったです。


さて、文庫の付記でも問題になっている「真希ー柿崎パラドックス」なんだけど、後から考えなおしてもさほど違和感がない。
付記で北村先生自身が理屈づけて解説しているのを読んだ時には、読者からの突っ込みに対する言い訳みたいにしか聞こえなかったんだけど、よくよく読んでみると自分が感じていた時間の流れのイメージと一致していたんだよね。
やっぱり本作における時間の流れは「くるりん」と言い表すのがしっくりくるのであり、「タイム・リープ*2」とは少し違うんだよね。
前者では時間の破断点に向かって自然に「くるりん」するのに対して、後者では破断点までくるとデジタルムービーのスキップのようにぶっつりと飛んでしまう。
そして北村先生の優しい文体には前者のようなアナログな感じの現象の方が合ってるよなーとも思った。