ななつのこ 読了

今年53冊目。

ななつのこ (創元推理文庫)

ななつのこ (創元推理文庫)

ファンレターとラブレターは、勢いで出すに限るのだ。
(p.46)
まったくあなたという方は、奇妙な出来事に遭遇する名人ですね。
(p.88)
老婦人の<侵略>は、まだまだ続く様相を見せていました。
「そのうちに、この金網につるバラを這わせるつもりなんですよ」
老婦人はそんな侵略構想を、無邪気に語っておられました。
(p.167)

駒子が気になった事件を手紙にしたため、綾乃さんが返信で事件の謎を解き明かす。
かなりレベルの高い安楽椅子探偵さんです。
現代の*1都会で起きた事件の一つ一つが、少し前の時代の田舎を舞台としているらしい作中作である「ななつのこ」のエピソードに絡めて語られるので、なんだか不思議な空気感を醸し出しています。
最後のエピソードでは、それまでに出てきた登場人物達が意外な形で関係づけられる。世間は狭いものなのです。
瀬尾さんあちこちに湧きすぎだろうと思っていたら、ちゃんとその理由づけまでされてたよ。お見事。

*1:といっても昭和末期頃かな?