折れた竜骨 読了

今年48冊目。

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

誰が暗殺騎士エドリックに操られ、領主を殺したのか。それは、ここまででわかった事実から導き出せる。そしてそれはお前にもわかるはず。いや、お前にこそ、わかってもらわねばならない。ニコラ、何も見落としてはいけない。そして考えろ。お前には素質がある。真実を見つめる勇気がある。理性と論理は魔術をも打ち破る。それを証明するんだ。そして、時が来たなら迷わず義務を果たせ。
(p.280)

とある密室ならぬ密島で殺された領主。
誰が領主を殺したのかを解き明かしていく推理劇。あくまでも理性と論理で突き詰めていくわけだが、犯人は黒幕の「魔術」によって操られていたという設定。
「魔術」などという「論理」を超越していそうな手段を用いて実行された犯行を「論理」でもって暴いていく。
そこには「魔術」をなんでもありのものとしてではなく、あくまでもその「魔術」に課せられた制約を前提とした論理が展開していく。
筆者曰くこういう作品を「特集設定ミステリ」というらしい。
あまり読書歴のないオイラには斬新な設定で楽しめた。
またその論理の一つ一つは単純で明快。無駄な伏線は張らずにきちんと回収され、文章も明快で読みやすいため、サクサクと読み進められたのも好印象。オヌヌメです。