中田英寿 鼓動 読了

今年18冊目。

中田英寿 鼓動 (幻冬舎文庫)

中田英寿 鼓動 (幻冬舎文庫)

アトランタ五輪前後からセリエAデビュー戦までの中田ヒデを追ったノンフィクション。
彼が(特に日本のマスコミを中心とした)世間から孤立していく様や、その中でも力強く自らの進みたい道を切り開いていく様が紹介されている。
Amazonレビューでも傑作と名高い本書の一番の特徴は、筆者本人の存在を全く感じさせないことであろう。
全てが事実かどうかを知ることは誰にもできないが、とにかく筆者の考えではなく、インタビューを下にした中田やその周囲の人々の想いだけを拠り所にして進んでいく。
マスコミによって自らの発言を捻じ曲げられることを極度に嫌う中田にとって、こうした記述の仕方が最も好ましいのではないかと思える。
だからこそ、続編の「誇り*1」も含めて小松成美さんがこの本を出版することを中田から承諾を得ることが出来たのだろう。


周囲とは違ったモノの見方をし、なおかつ歯に衣着せぬ言動をする人間が誤解を招きやすく、そのことが敵を増やしてしまうこと、そしてそれでもなお自分の意見を変えないがために更に敵を増やしてしまい、そして孤独と戦うことになるというのは僕にも非常に覚えのあること。
凡人である自分はどこかしらでポッキリと折れて沈黙してしまうわけだが、そうした孤独に負けずに進んでいき、ドイツWCのブラジル戦後にピッチでユニフォームをかぶって号泣した中田が果たして何を想っていたのか、続編も非常に気になります。
そしてできることなら、プロサッカー選手を引退し、旅人となった中田についても同じように読んでみたいです。

*1:

中田英寿 誇り (幻冬舎文庫)

中田英寿 誇り (幻冬舎文庫)