日経DI2月号 読了

今年12冊目、薬関係7冊目。
特集「目薬まる分かり」
目薬が日常的にポンポンポンポン出てくる職場から離れておよそ3年半。
すっかり色々なポイントが抜け落ちておりますゆえ、いい復習になりますた。
ベンザルコニウムが薬効成分の浸透補助に寄与するとか、使い捨てCLなら装着したまま点眼してもよいとかは知らなかった。
pHや浸透圧と点眼時に染みるかどうかの関係、複数の点眼剤の点眼順序なんかは文字通りよい復習。
日経DIらしい、いい特集ですな。


Reportの電子処方箋なんて地域は夢のまた夢のお話にしかみえない(´Д`;)
世の中には素敵な医師会もあるものだと、憧れを通り越して現実感が感じられないよ…


DIクイズ、プレミアム版のイナビルの問題は解答の解釈がおかしい。
あくまでイナビルは基本4吸入であり、吸い残しがないように複数回吸入するのは2回に限る必要がない。
2吸入で心配なら3吸入でも4吸入でもすればよいのであり、この解答の解釈では解答が選べなくなる。


薬歴添削教室は今月もファーマシストハラスメント気味。
「処方が適正かどうか評価するために症状の詳細を聞きとる」と述べているのに「オークルの使用量が通常より少なめなのはなぜか」→「検査値には問題がないので副作用の問題ではなく、疾患活動度が低いからだと考えられます」ってこれ、どうなの?
RAに対して弱い薬から初めて症状の進行に合わせて強い薬に変えていくピラミッド方式の薬剤選択は既に過去の方法であり、近年では初めから十分な強さの薬剤を用いて症状の寛解とともに安全性の高いものへと変えていくステップダウンブリッジ方式を採るのがスタンダードであるはず。*1
にもかかわらず「疾患活動度が低いから用量を抑える」とか平気で述べてしまう人たち、本当に処方が適正かどうか評価しているの?
評価して不適正だと考えたら、疑義照会なり文書なりでDr.に処方介入してるの?
それができないのであれば、中途半端にDr.の領域に踏み込まない方がよいのではないでしょうか?
そんなプチドクターみたいなことやるより先に、薬剤師として採るべきアプローチがあるような気がします。
薬剤師がまず最も重視すべきは安全かつ有効な薬物治療であり、今月の例題で言えばモーラステープとジクロフェナクナトリウムクリームの使い分けをきちんと聴取し、モーラステープによる光線過敏を防止することが薬剤師の仕事として、より重要。関節の変形や朝のこわばりを聞きとったのであれば、処方の評価なんかするより先に、実際に貼付薬が使用できるのか、PTPからの服用に問題はないのか、その辺りに問題があればそれを解決するのが薬剤師の仕事。
これを忘れてファマハラまがいの症状聴取に走るのは本末転倒でしょう。
薬剤師の仕事は医師の治療に口出しすることではなく、あくまでも薬物治療の安全性と有効性を引き上げることが第一義であると考えます。
もちろんそのために必要な患者インタビューや疑義照会は山のようにあると思われますが、どうにも本連載は毎月その辺に疑問を感じる発言が多い気がしてしまいます…。

*1:色々なところで述べられていることではあるが、とりあえず参照→「リウマチ治療ガイドラインhttp://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm400/library/pdf/guideline1to4.pdf