時間治療の基礎と実践 読了
今年87冊目。くさいの45冊目。
- 作者: 大戸茂弘/吉山友二
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 2007/09/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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最近話題のメラトニンによる睡眠リズム障害の治療もしかり、発作が明け方に多い喘息や虚血性心疾患の治療もしかり、1日中一定以上の薬物濃度を維持することを目指したこれまでのTDMをさらに一歩進めるとこういうお話になるんだと思われる。
例えばDNA合成リズムにも日周リズムが認められ、薬理学的に考えてS期特異性薬剤である6−MPやMTXはDNA合成能が低下する休息期には毒性が軽減できるため増量が可能となる。
一方薬物動態学的には、両薬物の血中濃度はいずれも夜間投与時の方が朝投与に比べて高くなった。
以上より6−MP/MTX併用療法を考えた場合、毒性を誘発することなく効果を増強できる1×夕で投与した方が1×朝投与よりも有効であると言える。
ということは、今後TDMを最大限に有効活用するためには生体内での様々な要因の日周リズム(あるいはもっと長期/短期スパンのリズム)を意識する必要があるということで、薬物自身の代謝経路やターゲットとなる臓器やホルモンの活性リズム、そして肝臓や腎臓による排泄の日周リズム等、列挙するだけで混乱しそうになるくらいの因子を整理していく必要があることになる。
この辺りが解明されていくに従って今ある治療法も改善されていくのだろうし、過去に消えていった治療法の復活や、もちろん新しい治療法の発見もなされていくのであろう。
…さて、どれくらいの医療者がこの流れについていけるのかな?