特別記念講演「宇宙から見る生命のつながり」

宇宙飛行士、毛利衛さんによる特別講演。
講演は毛利さんの宇宙船内でのミッションムービーからスタート。
エアロビとかやってたよ。案外宇宙でもシャキシャキ動けるんだな。
今回は日薬学会での講演ということで、毛利さんも医療の話と絡めてきてました。
無重力状態では何回転しても目が回らないという話から始まり、無重力への人体の適応の話へ。
無重力状態に入ると2〜3時間で顔がむくみ、頻尿となる。
これは体液が体中に分散することで脳が「体中に水分が行きわたるくらい過剰に水分がある!」と誤認するため。
この状態には2〜3日もすると適応するらしい。
また身長が5〜6cm伸び、全身が細くなり、シワもなくなるんだとか。
逆に地球帰還の1〜2時間前には1.2Lの水分を摂取することで、地球帰還時に重力によって体液が下半身にシフトすることで起こる起立性低血圧を予防するとのこと。
話は更に薬の話にも及んで、宇宙酔いの予防に酔い止め薬を使う(有効率100%!)ことや、無重力状態での骨粗鬆症予防にビスホスホネートが有効であることなんかも紹介された。
無重力状態でも薬ってちゃんと効くんだなぁと不思議な感じを受けてしまった。


毛利さんがおっしゃるには、宇宙から地球全体をみられるようになり、生命の元(ゲノム)が分かったことで、地球に存在する生命は時間的空間的に全てつながっていることが分かったということである。
この生命の持続性への原動力とは即ち「生きる喜び」であり、生きる喜びとは即ち「生きる可能性が高まること」「次世代につなげること」「仲間への貢献」といったことによって得られるものであると。
この喜びについて、毛利さんが演台から下りてきて、会場の聴衆に突撃インタビューを始めたことが今回一番のサプライズ。
「最近嬉しかったことは何ですか?」「なぜそれが嬉しかったのですか?」「なぜ?」「どうして?」とどんどん突っ込まれるので、質問をされた人は舞い上がりつつも四苦八苦。
我々も妻ちゃんの頑張りによってかなり前の方に座っていて、実際妻ちゃんの一つ前に座っていたおっちゃんがインタビューされてしどろもどろになっていた。
「妻ちゃんにも来い!」と他人事のようにニタニタして待っていたのだが、妻ちゃんの横でインタビュー終了。チッ(゚д゚)
毛利さんが言うには「こうして物事を深く考える習性をつけておくと、きっと良い薬剤師さんになれる」と。確かにそうかもなー。


宇宙のミッションムービーから始まり、医療の話、薬の話を絡めて生きる喜びに持っていく話の展開が非常にお上手で、さすがに話し慣れているなぁと思わされた講演でした。さすがです。