エックスフォージ/エクア勉強会

nohmin2010-04-20

エクアしか頼んでないんだけど…
エックスフォージとかあんまり興味ないんだけど…
まぁその辺はだいたいどこでも同じなようで、MRさんも空気読んでエックスフォージはマッハで素通り(゚∀゚)


さてエクア。
ジャヌビアに続く日本2剤目のDPP-4阻害薬。
DPP-4阻害によってGLP-1濃度を維持することを狙うわけだが、GLP-1にはインスリン分泌促進/グルカゴン分泌抑制のみならず、胃酸分泌抑制や心保護作用などの多臓器保護作用も期待される。*1


薬価は¥104.7/Tでジャヌビアの¥185/Tと比べるとお安め。
ただしエクアを2×投与するとジャヌビアより高くつく。
面白いことに、HbA1c<8%では1×でも2×でも血糖降下作用に差が出ない。
これはつまり、エクアの単位薬価の安さは一つの武器になる得るということになる。


エクアはDPP-4に対して解離半減期55分の共有結合で強固に結合するのに対し、ジャヌビアは1〜2分で結合・解離を繰り返す競合的結合で結合している。
この結合力の違いが作用の違いに結び付くことをノバルティスは期待しているわけだが、臨床的差異は出てきていないのが現状である。
またDPP-4阻害率でみてもエクアとジャヌビア、それぞれ1×で投与した場合の24時間後のDPP-4阻害率はどちらも約60%*2で差が出ていない。
これが用法通りエクアを2×にした場合、常にDPP-4阻害率≧90%となり、そのことがGLP-1活性増加作用及びグルカゴン分泌抑制作用においてジャヌビアに対して有意に優れた結果となる。
万有や小野は就寝中にGLP-1活性を高める必要はないだろうということで1×で臨床試験を行いジャヌビアの用法が1×となっている。
一方ノバルティスは24時間GLP-1活性を高めた方がよいだろうと考えて2×で承認をとっている。
これによる臨床的効果の検証はこれから、というところか。ただ一つ分かるのは、ジャヌビアを1×投与する場合、1×朝で投与すべきであって1×夕では効果が落ちる可能性が考えられること。
万有や小野は1日のうちいつ飲んでもいいとプロモーションしていたが、そこには疑問符をつけるべきであることになる。
ちなみに現在武田が販売準備しているネシーナの特性はDPP-4選択性が高いことだそうだが、これが臨床的にどういう意義を持つかは…?


禁忌疾患は重度の肝障害。ジャヌビアやネシーナは腎障害に禁忌/慎重投与。
エクアでは80%が加水分解による代謝を受けるのに対し、ジャヌビアやネシーナは80%が未変化体のまま排泄されることによる。
なお、同じエクア100mg/dayでも2×より1×の方がAST/ALT上昇の副作用が出やすいらしく、肝臓に負荷がかかりやすくなることが危惧される。*3


他剤併用について、SU剤と併用した際の低血糖の報告が続々上がっており、2例の死亡例も出ている。
これを受けて糖尿病学会から「SU剤にDPP-4阻害剤を加える場合は、SU剤を半量にしてからDPP-4阻害剤を加えるべき」とアナウンスが出ている。


食後高血糖抑制作用については、BS60ではエクア100mg/2×≒ベイスン0.6mg/3×、BS120でエクア100mg/2×<ベイスン0.6mg/3×ということで、ベイスン以上の作用が期待できるようである。


ちなみにエクア錠には割線が入っているが、現在半錠での用量は承認が通っておらず、ノバルティス曰く「デザイン割線です」とのこと(゚∀゚)
分割後1ヶ月間は安定であり、ODPはn.p.とのこと。

*1:ヒトでの臨床データはなし

*2:ジャヌビアはt1/2≒10hr、エクアはt1/2≒3hr。この半減期の差にもかかわらずDPP-4阻害率にそう差がないということで、DPP-4阻害剤の作用は血中濃度では担保されない。つまり将来GEが出たときには、血中濃度での同等性など何の参考にもならないことに注意が必要。

*3:臨床効果は有意差なし