デュロテップMTパッチ添付文書改訂*6

警告追記。

本剤の温度が上昇するとフェンタニルの吸収量が増加し、過量投与になり、死に至るおそれがある。本剤貼付中は、外部熱源への接触、熱い温度での入浴等を避けること。発熱時には患者の状態を十分に観察し、副作用の発現に注意すること。

非癌性慢性疼痛に対する適応追加。ただし、他のオピオイド製剤からの切り替えに限る。*1
慢性疼痛の原因となる器質的病変、心理的・社会的要因、依存リスクを含めた包括的な診断を行い、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。
用量換算は癌性疼痛と同様。
本剤投与開始後4週間を経過してもなお期待する効果が得られない場合は、他の適切な治療への変更を検討すること。また、定期的に症状及び効果を確認し、投与の継続の必要性について検討すること。
投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。


重要な基本的注意として、

本剤の使用開始にあたっては、主な副作用、具体的な使用方法、使用時の注意点、保管方法等を患者等に対して十分に説明「し、理解を得た上で使用を開始」すること。

の「」部分を追記。インフォームだけでなくコンセントを得なさいよ、と。
また、以下の部分も追記。

  • 他のオピオイド鎮痛剤から本剤への切り替え直後に、悪心、嘔吐、傾眠、浮動性めまい等の副作用が多く認められることがあるため、切り替え時には観察を十分に行い、慎重に投与すること。なお、これらの副作用は経時的に減少する傾向がみられる。
  • 乱用や誤用により過量投与や死亡に至る可能性があるので、これらを防止するため観察を十分行うこと。
  • CYP3A4阻害作用を有する薬剤を併用している患者では、血中濃度が高くなる可能性があるので、観察を十分に行い慎重に投与すること。
  • 鎮痛剤による治療は原因療法ではなく、対症療法であることに留意すること。


癌性疼痛患者への投与による副作用として以下を追記。
高血圧(0.1〜5%未満)
低血圧、チアノーゼ、動悸、感覚鈍麻、回転性めまい、皮膚炎(接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎を含む)、湿疹、貼付部位反応(発疹、湿疹、皮膚炎)、イレウス、腹痛、縮瞳、勃起不全、筋痙縮、疲労、末梢性浮腫、インフルエンザ様疾患、冷感、体温変動感(以上、頻度不明)
非癌性慢性疼痛患者への投与による副作用も癌性疼痛患者への投与による副作用とほぼ同様であり省略。


貼付時の注意として「傷ついたパッチは使用しないこと」との一文を追記。


慢性疼痛患者を対象とした臨床試験
(1) 第III相臨床試験
慢性疼痛患者を対象としたオピオイド鎮痛剤から本剤への切り替え貼付試験において、「安静時疼痛強度VAS変化量が+15mm以下」及び「レスキュー・ドーズ投与回数が1日2回以下であり、投与回数の差が1日あたり1回以下」である患者を疼痛コントロールが達成された患者と定義し評価した結果、4週後の疼痛コントロール達成率は86.3%(44/51例)であった。
また、4週後の「満足・不満のどちらでもない」以上と評価した患者の割合は90.0%(45/50例)であった。
(2) 長期投与試験
慢性疼痛患者を対象としたオピオイド鎮痛剤から本剤への切り替え貼付試験において、52週後の「満足・不満のどちらでもない」以上と評価した患者の割合は75.2%(79/105例)であった。


薬効薬理として「神経障害性疼痛モデルの一つであるスナネズミの絞扼性神経損傷モデルにおいて、フェンタニルは0.04mg/kg以上の皮下投与で冷的アロディニアを有意に抑制した。」との一文を追記。

*1:承認条件:慢性疼痛の診断、治療に精通した医師によってのみ処方・使用されるとともに、本剤のリスク等についても十分に管理・説明できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ用いられ、それら薬局においては調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。