リスパダール添付文書改訂*9

本剤の投与によりQTが延長する可能性があるため、慎重投与に不整脈の既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者又はQT延長を起こすことが知られている薬剤を投与中の患者を追記。
悪性症候群が起こりやすくなる。また、錐体外路症状の悪化に加えて、錯乱、意識レベルの低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがあるため、慎重投与にレビー小体型認知症のある患者を追記。
本剤及び活性代謝物の血中濃度が上昇することがあるため、併用注意にCYP2D6を阻害する薬剤(パロキセチン等)を追記。
薬物代謝酵素誘導により、本剤の代謝が促進されることにより本剤及び活性代謝物の血中濃度が低下することがあるため、併用注意にフェニトイン、リファンピシン、フェノバルビタールを追記。


第4相臨床試験の結果を受けて、その他の副作用に以下のものを追記。

1%以上→ALT(GPT)増加
1%未満→気管支炎、鼻咽頭炎咽頭炎、肺炎、血小板減少症、多飲症、食欲減退、躁病、被害妄想、精神症状、睡眠障害、精神運動亢進、無動、注意力障害、構語障害、よだれ、嗜眠、錯感覚、視力低下、洞性頻脈、心室性期外収縮、第一度房室ブロック、右脚ブロック、上室性期外収縮、低血圧、口内乾燥、消化不良、上腹部痛、胃炎、そう痒症、湿疹、筋肉痛、筋力低下、無月経、不規則月経、胸部不快感、胸痛、顔面浮腫、末梢性浮腫、疼痛、不活発、AST(GOT)増加、血中ブドウ糖増加、LDH増加、血中プロラクチン増加、血中ナトリウム減少、心電図QT延長、γ-GTP増加、グリコヘモグロビン増加、総蛋白減少、体重減少、尿中蛋白陽性、Al-P増加、転倒・転落
頻度不明→胃腸炎、感染、膀胱炎、耳感染、インフルエンザ、限局性感染、下気道感染、鼻炎、副鼻腔炎、皮下組織膿瘍、上気道感染、尿路感染、ウイルス感染、無顆粒球症、好中球減少症、アナフィラキシー反応、過敏症、高尿酸血症、水中毒、リビドー減退、神経過敏、末梢性ニューロパチー、協調運動異常、過眠症、失神、眼脂、結膜炎、網膜動脈閉塞、霧視、耳痛、回転性めまい、徐脈、左脚ブロック、洞性徐脈、呼吸困難、咳嗽、鼻漏、副鼻腔うっ血、睡眠時無呼吸症候群、口腔咽頭痛、腸閉塞、膵炎、歯痛、ざ瘡、脱毛症、血管浮腫、皮膚乾燥、背部痛、四肢痛、関節痛、姿勢異常、筋骨格痛、頚部痛、筋骨格系胸痛、性機能不全、乳房不快感、月経遅延、希発月経、低体温、インフルエンザ様疾患、心電図T波逆転、血中尿酸増加、尿中血陽性、肝酵素上昇、引っかき傷、処置による疼痛

妊婦への投与の項に次の一文を追記。
妊娠後期のリスペリドン製剤投与により、新生児に錐体外路症状がみられることがある。


外国人での吸収・血中濃度について、以下のデータを追記。

健康成人、高齢者、肝機能障害患者及び腎機能障害患者にリスペリドン1mg錠を単回経口投与したとき、活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)の薬物動態は、健康成人と比して、中等度腎機能障害患者(クレアチニンリアランス:30〜60mL/min/1.73m2)でt1/2に35%の延長及びAUCに2.7倍の増大、重度腎機能障害患者(クレアチニンリアランス:10〜29mL/min/1.73m2)でt1/2に55%の延長及びAUCに2.6倍の増大、高齢者でt1/2に30%の延長及びAUCに1.4倍の増大が認められた。

相互作用(外国人における経口リスペリドン製剤での成績)として、健康成人、健康高齢者又は患者(統合失調症双極性障害、精神病)を対象とした薬物相互作用の検討結果を追記。

(1) リスペリドンの薬物動態に対する他剤の影響
カルバマゼピン
統合失調症患者11例にCYP3A4誘導作用を有するカルバマゼピン(400〜1000mg/日反復投与)とリスペリドン(6mg/日反復投与)を21日間併用したときの活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)のCmax及びAUCτは約50%減少した。
<シメチジン及びラニチジン>
健康成人12例にCYP3A4及びCYP2D6阻害作用を有するシメチジン(800mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したときの活性成分のCmax及びAUCはそれぞれ25%及び8%増加した。また、ラニチジン(300mg/日反復投与)と併用したとき、それぞれ36%及び20%増加した。
<その他>
統合失調症患者12例にCYP2D6の基質であるアミトリプチリン(50〜100mg/日反復投与)とリスペリドン(6mg/日反復投与)を7日間併用したとき、健康成人18例にCYP3A4阻害作用を有するエリスロマイシン(2000mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したとき、双極性障害患者19例にCYP3A4の基質であるトピラマート(100〜400mg/日反復投与)とリスペリドン(1〜6mg/日反復投与)を39日間併用したとき、健康成人24例にCYP2D6及びCYP3A4の基質であるドネペジル(5mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg/日反復投与)を14日間併用したとき、それぞれ活性成分の薬物動態に併用薬の影響は認められなかった。
フルオキセチン(国内未発売)>
統合失調症患者10例にCYP2D6阻害作用を有するフルオキセチン(20mg/日反復投与)とリスペリドン(4〜6mg/日反復投与)を25日間併用したとき、活性成分のCmax及びAUCτは、それぞれ48%及び39%増加した。
(2) 他剤の薬物動態に対するリスペリドンの影響
健康高齢者18例にジゴキシン(0.125mg/日)とリスペリドン(0.5mg/日)を10日間併用したとき、双極I型障害患者10例にバルプロ酸(1000mg/日)とリスペリドン(2〜4mg/日)を14日間併用したとき、それぞれの薬剤の薬物動態に併用の影響は認められなかった。精神病患者13例にリチウム(炭酸リチウムとして443〜1330mg/日)を反復投与したときのリチウムの薬物動態に、リスペリドン以外の他の抗精神病薬併用からリスペリドン(6mg/日反復投与)併用へ変更しても影響はみられなかった。また、(1)での同時検討で、リスペリドンはカルバマゼピン、エリスロマイシン、トピラマート及びドネペジルの血漿中濃度に影響を及ぼさなかった。