抗結核薬

薬局7月号のまとめ、最終回。

結核薬は単剤で用いると、その薬剤の感受性菌だけが死滅して耐性菌を純粋培養することになり、耐性菌が多数を占めてしまう*1ため多剤併用が原則。
ただし予防内服もしくは診断的投与を行う場合はイソニアジド単剤での処方もあり得る。
結核治療の決め手は適切な抗結核薬の多剤併用と服薬コンプライアンスの良否にかかっており、耐性菌でない限り確実に抗結核薬を服用していれば治療成功率はほぼ100%である。
結核薬の第1次選択薬はイソニアジド(INH)*2、リファンピシン(RFP)*3、エタンブトール(EB)*4ストレプトマイシン(SM)*5、ピラジナミド(PZA)*6の5種類。
第2次選択薬もカナマイシン(KM)など5種類。
未承認ではあるが多剤耐性菌の場合レボフロキサシン(LVFX)が用いられる。

*1:fall and rise現象

*2:抗菌力がもっとも強いが、生体内でVB6の働きを阻害してVB6欠乏症を起こすため、INH服用中はVB6の併用が勧められる。

*3:INHとの併用で抗菌力が著明に向上する。尿、汗、涙などがオレンジ色に着色するが問題ない。ただしコンタクトレンズが涙で着色されて使えなくなることがある。

*4:抗菌力はINHに次ぐが視力障害の副作用がある。早期の発見方法として、毎日片目ずつで新聞の字が読めるかどうかをチェックしてみるのが良い。

*5:聴覚障害が重要で、特に腎機能障害者では腎機能に応じた減量が必要。

*6:肝障害や高尿酸血症の副作用に注意。ユリノームなど尿酸排泄薬の併用が必要になることも。