破水と早産

破水疑いに対して抗生剤が出てるわけで、ちょこっとだけ調べてみた。


某所で講演会をした先生の仮説ではあるのだけれども、膣頚管炎などの炎症が起き、それがひどくなると絨毛膜羊膜炎が起きる。
それによって単球が刺激されてIL-8が分泌され、好中球が病巣部に集まってきて賦活作用を示すことで今度はエラスターゼが放出される。
このエラスターゼが卵膜のコラーゲンを分解するために破水が発生する、とこういう経路が想定されているそうですわ。
そうすると治療としては、初めの感染症対策としての抗生剤に加えてエラスターゼ阻害剤も考えられるのだけど、後者については今のところ保険適応はなさそう。
ついでに単球が刺激された段階でIL1βやIL6も分泌され、こちらはPG産生を介して子宮収縮を促進してしまう。
こちらも当然早産につながってしまうので、感染病巣を早期に鎮静化することは大変重要となってくるわけですね。


ただ、その先生の実感としては絨毛膜羊膜炎が強くて早く生まれてきた赤ちゃんは、意外に呼吸状態が良い場合が多いとのこと。
どうも炎症性サイトカインというのは、適度であれば胎児の臓器の成熟を促進するということも言われているらしい。
もちろん炎症が過剰になれば胎児や母体に悪影響を及ぼすので、どこまでが適度、ということは難しいのだけれども。
そう言われてみればエコーでみたたまこの発育具合が妊娠週数相当より若干だけれども進んでいたなぁと、希望的に思い出したりもしたのだけれども、そんなことで早く成長するよりは、しっかり破水が止まって、正産期までお腹の中で育ってくれるといいなぁと思います。