どちらかが彼女を殺した ★★★★★

今年22冊目。

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

加賀が犯人のほうを見た。(p.353)

最初から容疑者は二人に絞られているのに、最後まで犯人が分からない。
容疑者と被害者を巡る三角関係自体はごくありふれた設定なのだけど、主人公が探偵役でありつつも証拠の隠滅も合わせて行っていく点では加賀刑事の敵役でもあるというのは面白い。
無駄な設定、無駄な描写がほとんどなく、理詰め理詰めで考えていくことを要求される本格推理小説
初版が20年ほども前なのでまだ携帯電話が普及していなかったり、睡眠薬が粉薬だったりするところには時代のギャップを感じるけれど、それ以外では東野さんの筆力が高いこともあってとても読みやすくて止まらなくなります。
僕のように通勤中の信号待ちで細切れで読んだりしないで、メモを片手に本気で読むと良いかもしれません。
今まで読んだ推理物の中では1,2を争う一冊かなー。


ちなみに巻末袋とじに「推理の手引き」までついていて、重大な謎について解説されています。
どうして主人公が犯人を特定できたか分からない人はそちらを読んで考えれば分かる…はず。