オタクの息子に悩んでます

今年75冊目。

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

「モテとは何か」を考えてみましょう。
使用する思考ツールは5、メーターです。
ある状態を考えるときとか、ある言葉を考えるときに便利なツールで、モテの場合は、100からゼロまで考えます。
モテ度100%とはどんな状態か。
相手から寄ってくる、ですね。知らない異性がどんどん迫ってきて困る状態。これがモテ度100%です。
(中略)
モテ度0%は「誰からも嫌われる」ですから、メイド喫茶に行ったら、その日メイドが休んじゃう。これがモテ度0%です。
(p.231-234)

朝日新聞の人生相談コーナー「悩みのるつぼ」に寄せられた相談に対して岡田先生がどう考えて回答をしたかという裏側が書かれた本。
いやー、すげーわ。
必ずしも全ての回答がそうだということはないだろうけれども、本人に会っているわけではなくて新聞投書を読んだだけで相談者自身も何に悩んでいるか分からないだろう悩みの本質を探り当てて、それを相談者だけでなく広く新聞読者一般に対して回答してしまうんだから。
岡田先生自身が書いている「相手と同じ温度の風呂に入る」を本当に実践しているからこそ、なんだろうなぁ。
これは気持ち的な面でもそうなんだろうけれども、投げかけられた悩みを何度も何度も読んで、分析して、先行して、潜行して、潜行して…しっかり考え抜いているからこそなんだろうなぁ。
では、さてこの技術、実生活に適応できないもんかと。
友人や後輩の悩みを聞いたりとか、患者に服薬指導したりとか、カウンセラーさんがカウンセリングをしたりとか、いわゆる「本人を目の前にした状況」においては、多くの場合そこまで考え抜いて回答する時間的余裕というものはないケースが多いのではないか。
その場合においても、本書で他に挙げられていた思考ツールを使うことである程度自分の頭の中を整理する助けになると思う。特に上で引用した「メーター」とかは意識的に使うと結構有用そう。
近いうちに店舗内でやってる研修のネタにさせてもらおう。


そうそう、回答の技術的な側面がタメになるのもそうだけど、回答自体も納得がいって面白かったですよ。


★★★★☆