レインツリーの国

今年64冊目。

レインツリーの国 (新潮文庫)

レインツリーの国 (新潮文庫)

>伸さんの青春菌

ひどい言われようやなぁ。
でも、俺はひとみさんも相当なもんやと思うで。俺からうつったんやなくて、元々保菌者やったんちゃう?自分のメール読み返してみ、結構クサいこと言ってるで。人のせいにしたらあかんわ(笑)。
(p.45)

青春菌、いいなぁ。
有川さんのお話は基本的に青春菌にまみれておりますがね。
このお話のヒロインは事故で中途失聴した女の子なんだけど、健聴者の彼との歩み寄り方がすごくいい。
歩み寄り、ではないな。文字通りぶつかって、ぶつかって、ぶつかって、傷つけあいながら近づいていくこの感じがリアルです。
障害をもった人だって、健常者と何も変わることのない人間なんだと感じられる一冊ですね。


★★★★☆


蛇足。
既婚者になって早8年。たぼんが生まれて親になったということで、こういう青春菌全開の話から少し距離を感じるようになりまして。
有川さんが既婚者の恋愛話を書いたらどうなるのかなぁ。普通不倫になると大なり小なりドロっとしそうなんだけど、有川さんならそれでも爽やかに真っ直ぐ書けたりするんだろうか。いやいやさすがにそれは無理があるだろ、などとふと思ってしまったわけですよ。