猫色ケミストリー

今年38冊目。

猫色ケミストリー (『このミス』大賞シリーズ)

猫色ケミストリー (『このミス』大賞シリーズ)

計算科学専攻の大学院生・明斗は、落雷により、野良猫と同級生の女子院生スバルらとともに意識を失う。気がつくと明斗の魂はスバルに、スバルの魂は野良猫に入れ替わっていた! 元にもどるため奔走する二人は、猫の餌から、研究室で違法な薬物の合成事件が起きていることに気づく。餌に違法薬物を混入した犯人の目的は? 果たして二人は元の体にもどれるのか!?
(Amazon.co.jpより粗筋引用)

今作も有機系実験室の空気がよく出ていて、それがそのまま物語の本質を構成するんだから流石です。
官能基で保護して本命の反応をかけて〜保護官能基外して〜エバポ回して〜シリカゲルカラムで乾燥させて〜TLCで分離精製して〜(本作には出てこないけどNMRとかIRとか)MSスペクトルとって構造確定して〜って懐かしいなー。戻りたくはないけど。
研究室内の人間関係もほんとにこんな感じだったよねー。
ただ前作と比べると不思議系要素が強く前面に出てるので、喜多さんの良さである有機系研究室の空気感というものは前作より控えめ。
3作目以降もどんどん不思議系要素が増えていくみたいなんだけど、喜多さんには一度もっとリアル系の有機系ミステリを書いてみてもらいたいなーと思ってたりする。