薬局1月号

薬関係4冊目。
最近家での時間がうまく使えなくて勉強もゲームも全然進まねぇ。

薬局 2014年 01月号 [雑誌]

薬局 2014年 01月号 [雑誌]

特集は糖尿病治療薬。
去年日本糖尿病学会が「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」においてHbA1cの目標値を7.0%に変更し、血糖コントロールについてthe lower,the betterは成立しないという説も確立されつつあるということで、服薬指導をこれまでとは変えていかないといけない状況となっています。
その中でこの特集というのは実にタイムリーでよかったです。
12月号に続いて興味深い内容てんこ盛りで、以下超ざっくりとしたまとめ。

  • I型糖尿病患者において厳格な血糖管理は長期的な心血管疾患リスクを減少させる。発症早期の血糖コントロール(HbA1c≒7〜8%)が細小血管障害合併症予防には重要。ただし低血糖と体重増加のリスクは増大する。
  • II型糖尿病患者において厳格な血糖管理を行うことによって心筋梗塞を予防するためのNNTは117〜150。対して重症低血糖のNNHが15〜50ということで、厳格な血糖管理は有害性の方が大きい。さらにそのNNT≒150にしても、心筋梗塞発症は減らせても全死亡のリスク低減にはつながっていないとされる。
  • 上記ガイドラインにおいて「年齢、心血管合併症の既往や低血糖などの理由で治療の強化が難しい場合に最低限達成が望ましい目標→HbA1c<8.0%」「合併症予防のために原則HbA1c<7.0%」「低血糖などの副作用がなく達成される場合には血糖正常化の目標値としてHbA1c<6.0%」の3段階の目標値が設定されているが、そもそもの糖尿病治療の目標である合併症予防についてはHbA1c<7.0%でよいはずなのに、HbA1c<6.0%では血糖を正常化させること自体が目的化してしまっているというおかしな状態になってしまっている。
  • 死亡率が最低になるのはインスリン使用の有無に関わらずHbA1c≒7.5〜8%
  • 肥満の是正は糖尿病の予防及び治療に重要な意義を有する。体重的成果には運動療法と食事療法が重要であり、食事療法では総エネルギー摂取量制限が最優先。炭水化物のみを極端に制限することについては現時点ではエビデエンスが不足している。
  • 禁煙することにより体重増加のリスクが増大するが、5kg未満の軽度体重増加であれば心血管イベントリスクを減らし、禁煙の効果が十分期待できる。
  • 運動による死亡率減少および心血管病減少は運動量に依存して直線的な関係にあるとされるが、効果を認めるために必要な最小運動量は認められなかったため「少ない運動でもやらないよりはまし」である可能性が示唆される。また、体重減少そのものが見られなくてもリスク減少が見られた研究も多い。
  • 現状で血糖コントロールのための第一選択はメトホルミン。DPP-4阻害薬は心血管病変抑制効果についてはエビデンスがないものの、薬価が高いことを除いて大きな欠点がないことから第二選択としてもよい。
  • スタチンによる治療は糖尿病新規発症リスクを増大するが、それ以上に心血管イベントを抑制する。
  • 糖尿病患者におけるBPコントロールは140/90未満がベース。若年者や腎障害患者では130/80未満。110/75未満では全死亡率が増加する。