街の灯

今年85冊目。

街の灯 (文春文庫)

街の灯 (文春文庫)

昭和七年、士族出身の上流家庭・花村家にやってきた女性運転手別宮みつ子。令嬢の英子はサッカレーの『虚栄の市』のヒロインにちなみ、彼女をベッキーさんと呼ぶ。新聞に載った変死事件の謎を解く「虚栄の市」、英子の兄を悩ませる暗号の謎「銀座八丁」、映写会上映中の同席者の死を推理する「街の灯」の三篇を収録。

ミステリの謎解き役が二人というとホームズとワトスン君みたいな関係が頭に浮かぶけど、このシリーズはそうはなってなくて新鮮だった。
全てを見通しているかのごとくベッキーさんが謎を解く手がかりを持ちだしてくるんだけど、あくまでもお嬢様が自力で謎を解いていく。
お二人が突出して頭がよくて周囲の人物が若干駄馬に見えてしまったりしないこともないのだけど、さすがは北村さんなので面白く読めましたよ。

――わたしが会えるのは全て駄馬なの。――そして仮に、千里を行く馬から見れば、わたしの方がただの駄馬なのよ(p.260)