老人と宇宙2 遠すぎた星

今年73冊目。

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

遠すぎた星 老人と宇宙2 (ハヤカワ文庫SF)

コロニー防衛軍のなかでも勇猛果敢で知られるゴースト部隊の隊員は、防衛軍に志願したものの、軍務につくまえに死んだ地球人のクローンで構成されている。だが、新たに部隊員となったジェレド・ディラックは、天才科学者ブーティンの遺伝子から作られたクローンだった。恐るべきエイリアン種族と手をくんだ裏切り者ブーティンの情報を得るべく誕生させられたディラックの熾烈な戦いと数奇な運命を迫真の筆致で描く話題作。

心は子供、身体は大人、の特殊部隊隊員として産まれたジェレドがアイデンティティを獲得し、自らの人生を選択するまでを描いた作品。
一作目同様のノリですいすい読める。
「おまえがバブバブ野郎に耳もとで叫んでもらって、どんな気分か教えてくれ」(p.86)
夕食の席で、分隊の面々は、そこのクソな塩を取ってくれとか、このゴミ野郎だとか熱心にいいあったが、ブラーエから、そのいまいましいバカしゃべりをやめろ、ごくつぶしども、どうせクソみたいに早くあきちまうんだぞ、といわれてしまった。(p.134)
「脳がハードウェア。意識がファイル。だが、きみの友人のディラックの場合、ソフトウェアが欠けている」(p.167)
「さて、あのクソな冷蔵庫へもどって、長官の息子が見つかるまで死体を調べてまわらないと。そのあとは、長官にむかって、あなたの息子とその家族はララエィ族に食用として切り刻まれましたと伝える楽しい仕事が待ってるし」(p.191)
いまじゃ、みんながあなたを"灼熱のジェレド"と呼んでる(p.193)
あなたは特別よ、ジェレド。いつでもそうだった。最愛の人(p.197)
「そうだ、二等兵、選択するのだ。きみにとってはあまり経験のないことだろう」(p.257)
「すべての人間のなかで、おまえたちだけは目的を、ほかの人間たちの安全を守るという目的をもって生まれたのだと。その目的について、以前は選択の余地はなかったんですが、いまはそうじゃありません。ぼくはこの道を選びます」(p.261)
おまえは以前よりも攻撃的になっている。切り返しも鋭くなった。ジェレド・ディラックはもの静かで、ひかえめだった。こういう表現が適切かどうかはわからんが、もっと無垢だった。いまはもの静かでもひかえめでもない。そして、まちがいなく無垢ではない」(p.309)
これがぼくの決定であり、ぼくが生まれた目的を果たすためには最善の決定だと思う。(p.444)


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