内なる宇宙

今年35、38冊目。

内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈上〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈下〉 (創元SF文庫)

内なる宇宙〈下〉 (創元SF文庫)

ある日突然人格が他者のものとすり替わってしまう――いたるところで奇異な現象が多発するジェヴレン社会に、ハント博士らは直面した。人格変容の起こった者はアヤトラと呼ばれ、新興宗教の活動家となるか、発狂するという。だがそれは精神異常の類ではない。“内なる宇宙”と名づけられた、まったく別の宇宙の存在が!

星を継ぐ者」3部作の続編。
本格サイエンスフィクションだった第1作から、第2作、第3作と段々サイエンスの割合が減ってきてご都合主義的な展開が目につくようになっていた3部作だったけど、少し執筆時間を置いた本作ではサイエンスとフィクションがいい感じに混ざりあって、前3作と比べてとても読みやすく、ストーリーも面白くなっていた。
超高性能になったコンピュータの内部でブラックボックス化が進行して我々の宇宙とは全く別の宇宙が誕生するというのは、現実では絶対に起きないとは言い切れなさ具合がScience FictionとしてもSukoshi Fushigiとしてもよくできていると思う。
堅物の秘書に怯えるダンチェッカー教授や、ジョークが滑りまくるゾラックなど、コミカルなシーンが増えたのも印象的。