100年の難問はなぜ解けたのか

今年33冊目。

100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 (新潮文庫)

100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影 (新潮文庫)

1904年に提唱された「単連結な三次元閉多様体は三次元球面と同相である」という命題。
提唱者の名を取った「ポアンカレ予想」という数学の命題が103年後の2007年に証明された。
命題を読んでも一般人のオイラにはさっぱりなんのことやら分からないが、1982年にサーストン博士が提唱した幾何化予想なる命題と組み合わせると「宇宙は丸い」ということが明らかになるのだそうだ。


NHKでTV放送された番組の文庫化なので非常に読みやすい。
読みやすいが、著者自身が十分にポアンカレ予想なるものをかみ砕いて理解できていないせいか、あるいはポアンカレ予想そのものが一般には難解すぎるのか、それともオイラの理解力が単純に足りないのか、結局ポアンカレ予想がどういうものか理解できなかった。
そしてタイトルの「なぜ解けたのか」の記述も十分ではないように思えたのだが、きっとこれは元番組の尺の問題が大きいのだろう。
また、オイラがサイモン・シンの「フェルマーの最終定理*1レベルの本を期待してしまったため、期待値が高すぎたというのもあるのだろう。


ポアンカレ予想がどんなもので、それがなぜ解かれたのかはよく分からなかったけれども、トポロジーなる分野の数学には少し興味がわいた。
目に見える物の厳密な形にはこだわらず、そのものが持つ「穴」の数で分類することによって成り立つ数学というものがどんなものか、高校の数学の教科書くらいのレベルでかみ砕いて読めるのであれば一度読んでみたい。
1+1が2にならない、ベクトルの問題を初めて見た時に「今までの数学とはちょっと違うなー」という新鮮味を感じたのを覚えているが、それに似たような感覚を持つんだろうか。どうだろうか。

*1:

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)