長安異神伝4 将神の火焔陣

今年31冊目。

復活を遂げた古代帝王・炎帝の手下である李少君は、天界で幽閉中の楊二郎を味方にしようと、脱出に手を貸した。多くの天兵を傷つけ、万里の馬を駆り、長安に戻った楊二郎だったが、天界と人界を共に支配しようと企む炎帝とは、ついに与することはできなかった。二人は刃を交えるが、神的な通力を丸ごと吸収して力を増す炎帝に対するには、神気を捨て人身に戻ることが勝利を得る鍵だと楊二郎は悟った――。

本体裏のあらすじが若干書きすぎな気もするけど、とりあえずそういうお話ですわ。
3・4巻目にして上下巻構成の長編がきますた。
1・2巻と違って天界・人界全体を巻き込み、冥界や西方まで出てくるスケールの大きな話になっております。
天界の覇者である玉帝や炎帝の人間臭さも描かれ、最後まで中だるみなくお話が展開します。
神の力、神の時間に対してはあまりに小さく、短い人の力、人の時間。
その人の想いによって神々が翻弄され、人の力によって決着するというのは皮肉なものですね。

「人、か」
李靖がつぶやき、万感の思いを込めて魏徴がうなずいた。
「わしらの思いや努力を、着実に伝えていくならば、その生命は天界の神ともひとしくなりましょう。むだには、けっしてならぬと思います。そう、信じますぞ。わしは」
(p.296)