動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012お勉強会

診断基準として境界域高LDLコレステロール血症を新設(LDL-C:120〜139mg/dL)
NIPPON DATA80に基づく絶対リスク評価チャートの採用
LDL-Cは原則としてFriedewaldの式により算出
リスク区分別脂質管理目標値の他に「LDL-Cは20〜30%の低下を目標とすることも考慮」
カテゴリーIIIに該当する病態としてCKDを追加し、ASO(閉塞性動脈硬化症)をPAD(末梢動脈疾患)と標記変更
家族性高コレステロール血症(FH・成人/小児)を単独表記
non HDL-Cを高TG血症の場合にLDL-Cの管理目標を達成したのちの二次目標として設定。TG>400mg/dL及び食後採血の場合はnon HDL-Cを使用。(LDL-C管理目標値+30mg/dL)

  • 絶対リスク評価チャート

NIPPON DATA80による10年間の冠動脈疾患による死亡確率を絶対リスクで評価。
性別、年齢、喫煙、SBP、TCに応じて一次予防(カテゴリー?〜?)、二次予防の4つに区分し、区分ごとに脂質管理目標値を定める
カテゴリーI:10年以内の冠動脈疾患による死亡確率0.5%未満 → LDL-C<160
カテゴリーII:           〃              0.5%以上2%未満 → LDL-C<140
カテゴリーIII:           〃              2%以上 → LDL-C<120
二次予防 → LDL-C<100

  • 治療

食事療法+運動療法→スタチン→スタチン+エゼチミブ→TG/HDL-C値等に応じてフィブラート/EPA/ニコチン製剤等の追加
糖尿病患者では持続的高血糖状態により変性LDLが生成されやすく、冠動脈疾患を有さない患者でもLDL-C<100を目指す。冠動脈疾患を合併する患者ではLDL-C<70を目指す
メバロチン(通常治療群)とクレストール(積極的脂質低下群)の比較試験→1年間の投与において、メバロチン群(LDL-C=118mg/dL)で0.04mm、クレストール群(LDL-C=83mg/dL)では0.01mmIMT肥厚となり、差が拡大したため治験終了。2年後にはクレストール群でIMT退縮が認められた→積極的な脂質低下の有用性が示された
癌との関連がいわれることもあるが、LDLを下げたから癌になるのではなく、癌の人を後ろ向きに調べると癌の影響でLDLが下がっているケースが多い
クレストール2.5mg≧リピトール10mgだが、クレストールの方が薬価が安い