星界の紋章3

今年109冊目。

星界の紋章〈3〉異郷への帰還 (ハヤカワ文庫JA)

星界の紋章〈3〉異郷への帰還 (ハヤカワ文庫JA)

「お客さま」ウサギがジントを見おろしていた。「ここは危険でございます。ご避難なされるのがよろしいかと存じます」
「教えてくれてありがとう。どうもここは危ないような気がしていたんだ」この期に及んでまだ軽口をたたける余裕に、ジントはちょっと気分をよくした。
その直後、避難を勧告してくれたウサギが銃弾を受けて倒れた。
「くそっ」ジントのいい気分は消え去り、怒りを覚えた。
ハイエナを破壊しておいて勝手な感想だとはわかっているのだが、ことばをかわした相手が破壊されるのを見るのは、あまり気持ちのいいものではない。
(pp.125,126)

3巻も優雅な時空で繰り広げられる会話が大変面白いのです。
とりわけ遊園地でドンパチ繰り広げている中で機械動物が繰り出す危機感ゼロの営業トークがシュール。
自らが破壊されるに至ってなお「いたずらに破壊すると、器物損壊の罪に問われます。また、損害に対する賠償を申し受けます。ちなみに、わたくしども一体の平均価格は…」と淡々と語る。怖ッ!
終盤の皇族との会話もアーブが傲岸ではあるが無知ではないというのがしっかり表されていて、ほんとによく練られているように思った。
他にも葬儀屋が考える派手な葬儀のシーンとか、スポール準提督とラフィールとの憎まれ口の叩きあいとか、面白いシーンがいっぱいでしたよ。