魔法飛行
今年106冊目。
- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2000/02/18
- メディア: 文庫
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野枝の両腕が風を受け、ごく自然に彼女の体は地面を離れます。そして空高く、どんどん高く、飛んでゆくのです。
百億もの星がちりばめられた、夜の空に向かって。
もちろん、他愛ない私の想像です。とっさにこんなことを考えたのもきっと、半太りのお月様のかけた、魔法のせいに違いないのです。
(p.210)
駒子シリーズ第2作。
前作*1では作中作である絵本と現実の事件とを絡めて駒子が手紙にしたためる形式でしたが、今作では現実の事件を駒子が物語としてしたためて瀬尾さんに読んでもらい、瀬尾さんが感想を述べつつ事件の謎を解くという形式。
あいかわらずほんわかした、お見事なロジック展開がなされる「人の死なないミステリー*2」
だがしかし、解説として有栖川有栖先生が"論理<ロジック>じゃない、魔法<マジック>だ"と、大変お上手に表現されております。
これがものすごくよく書けている解説で、これを読んでしまうとオイラの無に等しい文章力では何も書けなくなってしまうくらい。
あなたが男性ならば、自分を愛する女性から「魔法を見せて」と望まれていることを忘れてはならない。
そして、あなたが女性だったなら、愛する男性の魔法を信じてほしい。
もし彼がうまくやれずに愚図っているようなら、あなたの方からちょっとお手本を示してあげるのがいい。――ペンライトを魔法の杖にした野枝さんや、魔法めいたこの本を書いた加納さんのように、恰好よく。
(p.321)
*1:http://d.hatena.ne.jp/nohmin/20120528/1338606169
*2:おっつ、これは別の作品のキャッチコピーか。