剣の輪舞

今年89冊目。

剣の輪舞 増補版 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-3)

剣の輪舞 増補版 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-3)

都で随一の腕を誇るリチャード・セント・ヴァイヤー。決闘の請負をなりわいとする彼は、愛人の美青年アレクと気ままな暮らしを送っていた。しかし、謎めいた貴族が政敵の暗殺を依頼してきた日からリチャードの運命は少しずつ狂いはじめ、ついには都を揺るがす陰謀のさなか、おのれとアレクの命をかけて闘うことに……怖るべき権謀術数の渦中に巻きこまれた若き剣客の冒険を描く名作長篇に本邦初訳の短篇三篇を増補!

訳があまりお上手でないためか、誰がしゃべっているのか分かりづらいシーンがよくあった。
「観に行った剣客は次の戦いに負ける」という悲劇や、剣を習い剣客としての才覚を目覚めさせ始めていたマイケルなど、活かされないまま終わった設定なんかのためにも結構なページが割かれていた。
話の終盤、貴族同士の権謀術数のあたりはそこそこ面白かったのだから、もっと無駄をそぎ落として訳も読みやすくしてくれたらもう少し違った評価をしたのかもなー、と思う。
筆者自身がこの街のことを好きで好きで仕方ないというのは伝わってくるので、そういうものが共感できた人には好いのではないかな。