よいこの君主論 読了

今年49冊目。

よいこの君主論 (ちくま文庫)

よいこの君主論 (ちくま文庫)

「あらまあ、二人とも、もしかしてバスに酔っちゃったの?それは大変だわ」
まあやちゃんはニタニタ笑いながら、リュックサックに手を伸ばし、二冊の漫画本を取り出します。
「そんなときは、はい、これ、乗り物酔いのときは、楽しい漫画を読んで気分を紛らわせるのが一番よ」
まあやちゃんの悪意に気付かない二人は、彼女が勧めるままに漫画本を手に取ってしまいました。言うまでもないことですが、車中での読書は乗り物酔いにとって最悪の選択です。そのわずかに数分後、彼女たちは二人とも『乗り物酔いにおける最悪の状態』を迎えました。彼女達の身に何が起こったかは、ここでは詳述するのは控えましょう。まあやちゃんの極悪非道な姦計はここに完成を迎え、そして、憐れな二人の小君主を一度に地獄へたたき落としたのです。
ニヤニヤ、ニヤニヤと汚い笑顔を浮かべながら、必死に二人を介抱するまあやちゃん。しかし、窓を開けたり、水を飲ませたりといった適切な処置は決して施しません。それは介抱に見せかけた生殺し以外の何物でもなかったのです。そんなまあやちゃんの卓越した演技を、後ろの座席からチラチラ見ながら、りょうこちゃんは白目を剝きつつ呟きます。「まあや、おそろしい子!」
pp.86-87

小学校の1学級を統一することを目指すガキ、もとい小君主どもが跳梁跋扈する有様を描いた一冊。
マキャベリの「君主論」を小学校に応用するっていうのは珍しい発想だけど、もっそい面白い。
世襲の君主政体を統治する方法」「極悪非道の正しい使い方」「気前の良さとケチ」などの各章ごとに「兄の威光を振りかざす弟」「遠足のバス酔い」「プリン落下」など小学校でのささいなイベントを通してひろしくんやりょうこちゃんが5年3組を統治していくんだけど、上に抜き書きしたように妙にリアルかつシュール(´Д`;)
この本には、店舗を制圧するために役立つ知識や、下々の者どもの心理などが分かりやすく解説されているので、一生懸命に勉強してできるだけ他者を利するようなことは避け、自分の力だけを高めるように頑張ります!