マドンナ・ヴェルデ読了

今年40冊目。

マドンナ・ヴェルデ

マドンナ・ヴェルデ

「確かにその方法を取られたら私に勝ち目はないわ。でもやっぱりママは私に従うしかないの」
「お腹の子が自分の子供だと、あたしが主張しても?」
理恵はうなずく。みどりは質問を重ねる。
「こうしてあたしが妊娠しているのに?」
理恵は首を振る。
「現実にはママが妊娠した事実はないし、ふたりの子を産んだのは、私、曾根崎理恵よ」
「どういうこと?」
「あのね、病院のカルテには私の妊娠だけが記録されているの」
理恵がテーブルの上に四角を描くと、ゴーヤチャンプルの皿の隣に、半透明のカルテが浮かび上がった。手に取ることができないそのカルテを見ながら、みどりは問いかける。
「理恵ちゃんの妊娠?どういうことよ、それ?」
「カルテの上では、双子は今、私のお腹で育っていることになってる」
「じゃあたしのカルテは?」
「人間ドックの健康診断項目が記載されているわ」

まさに反吐が出る!
傲慢な医師、まあ医師に限らず傲慢な権力者ってのは本当にタチが悪い!
帯には「海堂史上最強の魔女」とあるが、海堂史上最低の医師と読み替えた方がしっくりくる。
本作はジーン・ワルツと医学のたまごを結ぶ位置づけになるんだけど、海堂さんは本作で何が言いたかったんだろう?
まさかまさか理恵と同じ考えを持っているなんて思いたくもないが…
ユミちゃんの天真爛漫さだけが救いだったな。
あ、それともう一つ。
「医学のたまご」でパパがなんでご飯の献立を報告してくるかが分かったのは微笑ましかったよ。