調剤報酬改定

新年度になり新調剤報酬で動き出しました。
早速業務に直接影響してくるのはハイリスク薬指導加算と調剤明細書原則義務化でしょうか。
あと地味に薬歴管理指導料算定条件として「後発品処方に関する患者の意向」を記載しなくてはならなくなったところもポイントですが、これはぶっちゃけ監査されないとわかr(ry


さてまずはハイリスク薬。
日薬が出してくれたハイリスク薬ガイドラインを参照しておけば取り立てて厳しい算定条件ではないので、当たり前のことを当たり前にやれば算定できることは分かります。
問題なのは算定対象となる薬剤で、薬価基準に基づいて機械的に「この薬なら該当、この薬は対象外」となるわけではなく「承認されている用法・用量と薬理作用、併用薬、患者インタビューの結果などから勘案して、対象となる目的で使われていることが明らかな場合に算定対象となる」「レセプト病名が明らかでない場合は医師に疑義照会する必要がある」という主旨のお言葉を東海北陸厚生局と電話でやりとりして確認しております。
今回の改訂には地味ながら処方箋様式の変更も含まれており、処方元病院の医療機関コードを入力して保険請求する*1ようになっています。
ということは支払基金側での医科・薬科レセプトの突き合わせがこれまでより効率的に行える=返戻がかかりやすくなる可能性があります。
ハイリスク薬加算を取っていく時はこの辺に十分注意して各店で対策していく必要があると思われます。


そして調剤明細書。
今改訂で最もくだらないと私が思ってる部分ですが。
くだらないならともかく有害だとすら思っているわけですが。
我々から見ても解釈に悩むようなところが多々ある複雑な調剤報酬を、素人が見てどこまで分かるというのか。無用な猜疑心を招くだけな様な気がします。*2
調剤明細書の義務化を主張された某委員氏は「医療の透明化だ、後日何かあった時の証拠だ」といわれていますが、元々調剤報酬の中身は隠すようなものではなく、希望されればすべて開示します。最低保存期間だって年単位で指定されています。
こんな明細書もらったって一般の患者さんの大半には大きな*3ゴミにしかならんのですよ。
事実として、こんなものよりもっと重要な薬情ですらそういう扱いをする人は少なくないわけですよ。
そんなものを、薬局に指定された情報保存期間よりも長期間、きちんとしまっておく人が果たしてどれだけいるでしょう?
はっきり言ってこの制度は「紙の無駄、インクの無駄、(出力するのにかかる)時間の無駄」だと思ってます。
特に最後の時間の無駄が大きく、これは即座に「患者の待ち時間延長」として跳ね返ります。
それだけならともかく、人間待たされるとイライラします。
イライラすると聞いてもらえるはずの服薬指導が聞いてもらえなくなることも発生してきます。
これではベストな治療の妨げになります。
そんな本末転倒な制度はできる限り排除したいので、うちでは全ての患者さんに「不要ならそうおっしゃっていただければ次回からお渡ししません*4」って言ってます。
もちろん薬歴にはその旨記載しておきますよ(゚∀゚)
同じようなことやった薬局は他にもあるようで、過半数が「いらない」という返答だったという薬局も複数あると聞いています。
なるべく早くこの有害無益な制度が撤廃されるように祈っております。

*1:今年9月までは経過措置あり

*2:もちろん明細書を見て質問されれば、全て丁寧に答えますが。

*3:レセコンによって異なるとは思いますが大半の医療機関ではA4で出力すると思われます。

*4:どんなものか見てもらうために初回は全員に出してます。不要の申し出があってからも、必要な時にはそう言ってもらえばまた出しますとも言ってます。