後期ダンピング症候群による低血糖症状抑制に対するベイスンの適応外処方に関するメモ

  • ダンピング症候群は胃の手術後に認められる症候群の一つで、食後早期に現れ全身症状と腹部症状を有する早期ダンピングと、食事摂取2〜3時間後にインスリン過分泌によって生じる低血糖症状を主体とする後期ダンピング症候群とに分けられるが、両者はしばしば合併する。
  • 後期ダンピングは、炭水化物の上部空腸への急速排出により腸管からの吸収が急速に上昇する結果、その高血糖により膵ランゲルハンス氏細胞でのインスリン分泌が著しく誘導され、2〜3時間後になって低血糖が生じると考えられる。
  • しかし単純に腸管にブドウ糖を注入した場合に現象を再現できないことから、GLP−1をはじめとしたインクレチンの分泌亢進が関与してインスリンの過剰分泌が起こっていると考えられるようになってきている。
  • 発症は胃の切除範囲が大きいほど頻度を増し、その治療の基本は食事療法であり、一回量を減らして5〜6食にわけ、ゆっくり食べることを原則とする。
  • α−GI阻害薬は腸管におけるこの急激な吸収負荷増大を抑制することで後期ダンピングによる低血糖症状を抑えるものと考えられる。