学会報告12 LS5−1:エビデンスを服薬指導に活かすためにどのように解釈すべきか?

現在各種大規模臨床試験が続々と発表されているが、これらをどう解釈するかという講演。
MRなど、他人に情報ソースを頼れば情報発信者のバイアスがかかり、極論すれば嘘をつかれる可能性がある。添付文書に頼れば、過去に発生した副作用事例が羅列してあるだけで、将来にわたる例えば脳卒中の発症リスクなどといった記載に欠ける。月刊誌などを用いて論文の二次情報を読む場合もバイアスに注意する必要がある。やはり最も良いのは自分で原著論文を読むことであるが、この際にRCTとなっているか、規模は適正か、エンドポイントの解釈などをよく吟味すること、また目の前の患者にそのエビデンスはそのまま適用可能なのかどうかを都度考えることが必要となる。
また「ある降圧薬が血圧を下げる」ことは治験で証明されているし「血圧を下げることは心血管イベントを抑制する」ことも証明されているが、「その降圧薬が心血管イベントを抑制する」ということが証明されているわけではないということにも注意が必要となる。
結局のところ、例えば高血圧であればどんな薬を用いるにしろ血圧を下げることが第一であるのは間違いがなく、何か問題が生じているとき、他剤と比べてこういうエビデンスがあるからこの薬を選択するのだ、といった部分に大規模臨床試験の結果を適用するくらいにとどめておくのがよいだろうということでした。