学会報告11 W2−S1:新型インフルエンザ対策について

まもなく世界的に大流行するであろうと警戒されている高病原性新型インフルエンザ。その致死率は通常のインフルエンザの0.1%やスペイン風邪の2%を大きく超えて60%以上にも及んでいる。また、スペイン風邪の時代と異なり飛行機での移動が発達している現代では、世界中に何日単位で急速に流行するとみられている。
Phase1〜6で表される流行の度合いは現在Phase3-A(パンデミックアラート期)で、国外でトリからヒトへ感染がみられ、国内ではトリからヒトへ感染した患者は発生していないという段階。Phase4になると社会的に様々な対策が取られるようで、Phase4-Aで国際線の発着空港の制限が行われたり、Phase4-Bでは外出抑制や指定医療機関への勧告入院措置が取られたりする。これがPhase5-Bでは指定医療機関での対応では間に合わなくなり、原則すべての医療機関での新型インフルエンザ診療が解除される。
個人で行う予防用マスクの備蓄は、ガーゼマスクでは感染予防力に劣るため不織布製マスクとし、発症時の感染予防用に一日1枚、発症期間7〜10日として7〜10枚、健康時外出時着用用に週2回外出するとして一回のインフルエンザ流行が2カ月続くものとして16枚の、合計20〜25枚/人程度必要と見込まれている。
ワクチンについては、まずプレパンデミックワクチンの治験を今年度中に終える見込みであり、この結果を受けて優先接種対象者及び接種時期を決定する。その後全国民に対するパンデミックワクチンの接種時期を検討していく。また、全国民に対するパンデミックワクチンの接種は公的機関での集団接種形式を想定している。このとき、ワクチンを接種する医師の手が足りない場合、看護師や薬剤師もワクチンを接種する側にまわる可能性がある。
厚生労働省よりH19.3.26.現在の新型インフルエンザ対策ガイドラインに沿った講演でしたが、最後の「薬剤師もワクチンを接種する側に回る可能性がある」というのが衝撃でした。そのためには当然事前に研修を受ける必要もあるだろうし、全薬剤師を対象とするわけでもないだろうから、その選定基準なんかも今後決まっていくことになるので、今後の政府発表には十分に注意していく必要があるようです。