893のお仕事

nohmin2008-03-18

日曜日の研修の資料を見てオイラの話を聞いた嫁ちゃんが、今日の晩御飯の時に「『患者さん』である前に『一人の人間』と接していることを意識して服薬指導するようにしてみた」と言い出した。
話を聞いて二日で実行に移すとは我が嫁ながらすごいな、と素直に感心した。
オイラも負けてられないのでもっと患者さん志向の服薬指導を身につけていこうと思います。


患者さんの価値観を重視した、患者さん自身から進んで行動変容してくれるようにコーチング技法を取り入れた服薬指導を目指し始めて半年、ようやく薬剤師の仕事ってこういうことなんだな、って思えるようになってきた。

  1. 添付文書に規定してあるような用法用量の逸脱がないかチェックする。これは最低ライン。これしかやってない薬剤師はそのうち登録販売員に取って代わられても仕方がない。
  2. 薬学的知識を用いた相互作用や副作用の推定、注意喚起。ここまではできて当たり前、できない薬剤師は薬剤師にあらず。
  3. 患者さんの生活や価値観を処方と照らし合わせ、患者さんにとって実行可能かつ最善の効果を得られる薬物治療を提供できて初めて専門家といえるのかな、と。

1.レベルの業務には薬学的知識は必要なく、添付文書があれば誰にでもできる。
2.と3.の違いは一言で「薬を対象にした仕事」と「人間を対象にした仕事」の違いだと思っている。
薬ってのは決められた用法・用量を守って調剤さえすれば、どんな患者さんもきちんと服薬してくれて、きちんと服薬さえしてくれれば副作用もなく画一的に効果が出るようなものでは、当然ない。
患者さんの病態はもちろんのこと、副作用の出方も人それぞれ千差万別。
それよりも前に、患者さんの薬への思いも人それぞれで、生活の中における薬の位置づけというのもバラバラ。
僕らは薬という化学物質を扱う職業ではあるけれど、実際にはこういった非常に人間くさい部分と向き合っていかないといけない職業であることを忘れてはいけないのだと思う。
僕らの仕事は「正しく調剤して、患者さんに正しく薬を飲んでもらうこと」ではなく、あくまでも「薬を通して患者さんが豊かな生活を送ってもらうことのお手伝い」なんだということを最近たまに思うのです。


なんてガラにもなく真面目なことを書いてみると、うちの日記じゃないみたいなので、また当分はやめておきますよ。