朝の会

休暇明け最初の朝の会。
ネタがなかったので仕方なく、今更ながらβブロッカーについてまとめてみた。

【β遮断剤について】
β遮断剤の主な長所は①高レニン性本態性高血圧で有効②若年者で有効なことが多い③虚血性心疾患の合併例にもよい④軽症から重症高血圧まで使用できる⑤他剤との併用で相乗・相加的効果、といったものがあり、短所として①気管支喘息に禁忌②心不全合併例に使いにくい③刺激伝導系障害に禁忌④低血糖症状をマスクしやすい⑤末梢血流障害があると使えない⑥突然の休薬でリバウンドを起こす⑦脂質代謝異常や性機能低下、などがある。


他の降圧剤との組み合わせではヘルベッサー/ワソランとは過度の徐脈や房室ブロックなどの危険性があるため併用禁忌である以外は良好な相乗作用が得られる。ただしACE阻害薬との併用は単なる相加作用にとどまるとされる。


β遮断剤は心臓(β1)選択性の高さ、α遮断作用の有無、ISA(内因性交感神経遮断作用)の有無、血液−脳関門通過性(脂溶性)の高さなどによって分類され、患者の病態や合併症によって使い分けられる。


《β1選択性》
β1選択性を有すると心選択的に作用し、気管支攣縮を誘発しにくい。血管収縮を起こしにくいため、四肢末梢動脈の血行障害も少ないとされる。またβ1非選択性の薬剤は本態性振戦や偏頭痛にも効果があるといわれている。(適応外使用)


《α遮断作用》
α遮断作用を併せ持つβ遮断剤では、β2遮断作用による末梢循環障害がα遮断作用による末梢血管拡張効果で相殺されるため、速やかな降圧効果が得られる。また、α遮断によっておきる反射性頻脈をβ遮断作用が抑制するなど、α遮断作用とβ遮断作用が相互補完的に作用するのが特徴である。


《ISA》
ISAとは、アドレナリンなどカテコラミンが枯渇した状態において、β遮断剤自体がβ受容体の刺激効果を示す作用をいう。つまり、ISA(+)の薬剤では、労作時などの交感神経系が興奮した状態ではβ遮断作用が中心となるが、安静時にはβ刺激作用を示すため、β1遮断作用による過度の心拍数減少を防ぐことができる。またISA(+)の薬剤は脂質代謝への影響が少なく、気管支収縮作用がやや弱い。逆にISA(−)の薬剤はレニン分泌抑制作用が強く、狭心症不整脈の患者に用いやすい。


《血液−脳関門通過性》
脂溶性の高いβ遮断剤は血液−脳関門通過性が高いため、中枢を介する交感神経抑制作用を起こし、悪夢、不眠、抑うつ、性機能障害などの副作用を伴うことがある。肝代謝が主になるため、肝障害時は減量の必要があるのに加え、肝初回通過効果に個人差がある。反対に親水性のβ遮断剤は肝初回通過効果を受けないので、降圧の有効性に個人差が少ない。また、未変化のまま腎排泄されるので、腎障害時は減量するなどする必要がある。